■死んだじいちゃんへの悔恨の念

 振り返ると、息子には何も教育したことがないんだ。「挨拶ぐらいしろ」「嘘つくな」とかさ、それぐらいしかねぇんだけど。「勉強しろ」なんて言ったことねぇし。孫を通じて息子から教育してもらっているようで、感謝してる。

 かたや、おふくろは認知症になって施設に入ってるわけでさ、「人生のバランス」がすごいんだよ。
 人生始まったばかりの孫と、終わりかけてるおふくろ。だけど、おふくろは赤ちゃんのようになっている。その瞬間を経験してんの。

 思えば、死んだじいちゃんは晩年、寝たきりになってね。両親は仕事だから留守で、俺が高校から家に帰ると、じいちゃんは奥の部屋で、「祐一~」と声かけてくれていた。

 俺は実にそっけなく、「あー、おじいちゃん、寝ててよ」と応えてたんだ。

 今になって、これが効いてくる。将来、俺が孫に同じ対応されたら、どう思うのか? 本当に、ごめんなさいって。でも結局、順繰りなんだよ。原始時代からの繰り返しなんだ。

「瞬間の名画」じゃないかな。俺のじいちゃんに対する悔恨の念というのは、それもまた名画だと思うし。

 皆さんも、おじいちゃん、おばあちゃんのことを思い出そう。つらい記憶もあるだろうけど、長く生きてきたんだから、どうってことないはず。老化につながらない、一つの脳内体操だと思うよ。

玉ちゃん(たまちゃん)
1967年生まれ。東京都新宿区出身。86年にビートたけしに弟子入りし、翌年、水道橋博士と浅草キッドを結成。一般社団法人全日本スナック連盟会長。