■杉咲花でなければできなかった役

 X上では、《普通に1→2→3…で見ると「今」の文菜の行動が最初は「???」って感じるけど、54321順(つまり最新話5話から遡って1話まで)で見ると、彼女の感情の積み重ねが逆順に解きほぐされていくみたいな、不思議な時系列体験になる》などと、第5話で時間軸が一番初めに戻ったことに対して驚きの声が。

 なんとも大胆な仕掛けだ。初回で“好きな人とは付き合わない”文菜(杉咲)を見せつけ、視聴者離れを招いたが、それは見る人をふるい落とす意図があったように感じる。それでも離れなかったコアな視聴者がここにきて気づき、文菜の恋愛観の変遷につながっていくという、計算し尽くされた時間軸の構成なのだろう。

 視聴者はこの仕掛けにより、文菜という違和感ありまくりだった女性に急に親近感を覚え、一気にハマったはずだ。Xでの、本作についての語りの熱が高いのもうなずける。一方でそれは、文菜の気持ちの変化、変遷を巧みに表現できる、杉咲でなければ成立できなかった。演技力が高いのは周知のことだが、本作での彼女の演技を見ていると、別次元のレベルに達している気がする。独特かつ繊細な作風。異次元の演技を見せる杉咲花。どちらも、一度、ハマったら抜けられない魅力がある。本作が杉咲の代表作のひとつに数えられることになるのは、間違いない。

 ここまで徐々に文菜の過去の恋愛が明らかになっているが、2月25日放送の次回は、文菜がすごく好きだったのに、その想いが成就しなかった相手(timelesz松島聡/28)が登場するという。この関係が現在の文菜にどんな影響を与えたのか、注目したい。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。