■中学受験の “向き不向き”カギを握る「9歳の壁」
この『9歳の壁』とは、具体的には「算数の授業で“時間と距離と速さの関係”を理解できること」だというが。
「この問題が理解できるのは、脳が具体から抽象へと情報処理できるようになったということ。これは知能の問題ではなく、脳の発達ペースによるものです」(以下、コメントは杉山氏)
つまりは、目に見えない事象を自分の頭で想像しながら考えられるようになる時期ということ。まだこの“壁”を越えられていない子供にとっては、中学受験はストレス以外の何物でもないのだという。
「自己を深く考えられるようになるのも、この時期なんです。未熟な段階では“何のために勉強しているのかわからない”と感じ、勉学にもあまり取り組めない傾向があります」
つまり、中学受験に“向いている子”と“向いていない子”がいるというのだ。
親としては、子供のために多少の無理をさせてでも、早くから勉強させたいと思ってしまうもの。しかし、それが“向いていない子”の場合だと、そんな親の努力は空回りしている状態になり、それによって今後の親子関係にもヒビが入る恐れもあるのだという。
「親は自身の期待通りに子供がやりたがっていると考えがちですが、子供は親に嫌と言えないことも珍しくありません。親の熱意ばかりで先走ると、結果的に“自分の意思を無視する存在”として関係性にしこりを残すことがあります」
そんな中、仮に“向いていない子”が苛烈なお受験戦争を突破したとしても、その後には “次なる地獄”も待っているのだそう。
「名門中学の多くは、学校のカラーに子供を染めがちです。しかし、中学受験に“向いていない子”は、マイペースだったりチャレンジャーだったりするタイプ。このタイプには校風などに支配されるのが苦手で、むしろ支配欲がない誰かとの絆に安定感を覚える人が多いんです。そんな子はこうした校風にハマることができない。そうすると、自己肯定感が下がってストレスを溜め込んでしまうことになる。実はそんな子も少なくないんです」