■爪楊枝や洗口液の“落とし穴”
一方、歯ブラシ以外の器具の使用も今の常識だ。『おとなの歯磨き』(フローラル出版)の著者でもある訪問歯科医の伊東材祐氏が話す。
「歯周病菌は空気を嫌う嫌気性菌なので、歯ブラシが当たりにくい歯と歯の間や、歯茎の隙間の奥に潜んでいます。そこで活躍するのが、フロスと歯間ブラシです」
その2つは同じ役割を果たすわけではない。
「歯と歯の間の汚れを落とすフロスは全員に使ってほしいです。糸ようじタイプでも、糸だけのタイプでもどちらでもかまいません。一方、歯間ブラシは歯茎が下がってきて、歯と歯の間に三角形の隙間ができた人に向けた商品です。毛先は、隙間と同じくらい、もしくは少し小さめのサイズが最適です」(前出の歯科衛生士でクラドルの森氏)
なお、爪楊枝はフロスの代用品にはならない。
「爪楊枝は大きな汚れを取るだけのもの。歯茎を傷つけ、隙間を広げてしまう可能性もあります」(前出の歯科医の石井氏)
マウスケア商品として、液体のマウスウォッシュ(洗口液)があるが、歯磨き粉の代わりになるのか?
「なりません。また、アルコール入りだと、口内を乾燥させ、唾液量が減る落とし穴があります」(前同)
唾液には口腔内を浄化し、再石灰化を促す働きがある。
「だから私はむしろ、ぬるま湯で叩き洗いをするように口をゆすぎます。そうすることで、大きな汚れを落とせますし、粘膜を適度に刺激し、唾液が出る環境を作れます」(同)
この唾液が、口内ケアのカギになる。石井氏が、続けてガムの有効性を説く。
「キシリトール入りガムを噛むことで唾液が出てきます。また老化、フレイル(虚弱)の予防にもなるんです」
さらに、口の中の環境が崩れると、その影響は体全体に広がるのだという。
「歯磨きをしない生活をすると、どうなるかと考えていただくといいでしょう。口の中の常在菌にたくさん栄養がいくことになり、繁殖が進んでいきます。“口内フローラ”と呼ばれる、細菌の集まりが増えていくんです」(同)
これが恐ろしい事態につながっていくのだ。