■物価高騰が続く中でまさかの原材料費減少
ボストンコンサルティンググループでの勤務経験もある経済評論家の鈴木貴博氏が語る。
「丸亀製麺は原材料価格上昇という逆風で値上げが避けられない中、無料トッピングを拡充する“逆張り”戦略を打ち出した。値上げをする代わりに来店者の満足度も向上させることで消費者を引き留めたのです」
実際、丸亀製麺は『釜揚げうどん(並)』が340円から370円へと値上げされた25年1月の4か月後となる同年5月、無料トッピングに“わかめ”と“しび辛ラー油”を追加し従来の6種類から8種類へとその数を増やしている。客が自分好みに“味変”できる楽しさを打ち出し、店舗での体験価値を高めたのだ。
「『鴨ねぎうどん』(並・920円)『玉子好きのためのだし玉肉づつみうどん』(並・890円)といった高単価商品も積極展開。定番商品で来店の間口を広げつつ、トッピングや季節限定メニューで客単価アップも図っています」(前出の全国紙経済部記者)
物価高騰が続く中でも丸亀製麺が利益を伸ばせた最大の要因は、原材料費にあるという。
「ロシアによるウクライナ侵攻により22年には世界的な小麦価格の高騰が起きました。これに影響される形で、丸亀製麺が使用する国産小麦の平均落札額は23年産に関しては前年のものよりも3割ほど上昇し、1トン当たり6万4737円。翌24年産も1トン当たりの平均落札価格が6万7587円と高値が続きました。一方で26年産に関しては国産小麦の平均落札価格は、1トン当たり5万7684円。大幅に価格が下落した形です」(前同)
コメ価高騰の影響により牛丼チェーンすき家の25年4~12月期の営業利益が前年同期比で64%減となる73億円、吉野家の25年3~11月期の営業利益が13%減となる49億円だったのとは対照的である。
「丸亀製麺のライバルであるはなまるうどんも増収増益と好調を維持しています。25年2月期の決算では、売上高は248億1500万円(前年同期比7.0%増)、利益は19億8800万円(前年同期比8.0%増)と順調です」(同)
物価高が続くなかで、安価なうどん店に消費者が集中したとも言えるだろう。この流れは今後も続くのか。前出の経済評論家の鈴木氏が語る。
「人件費の上昇や燃料高により食材価格の上昇は避けられない。当然、価格の維持も簡単ではありません。一方、丸亀製麺はロードサイドへの出店が多くファミリー層が主要な顧客となっている。競合となるファミリーレストランなどの値上げが続く中で、低価格路線が維持できれば、数多ある飲食チェーン店の中でもひとり勝ちも見えてきます」
海外でも10の国と地域で200店舗以上を展開している丸亀製麺。この快進撃はどこまで続くのか。
経済評論家・百年コンサルティング株式会社チーフエコノミスト。ボストンコンサルティンググループ、ネットイヤーグループを経て独立。経済クイズ本『戦略思考トレーニング』(日経文庫)の著者としても有名。元地下クイズ王としての幅広い経済知識をもとに深い洞察力で企業や経済を分析する独自のスタイルが特徴。テレビ出演などメディア経験も多数。