■神様が驚いたフォークの制球
対してフォークはやはり、野茂英雄と佐々木主浩の2人が歴代では双璧か。
佐々木と対戦経験のある田尾安志氏も、一番の対策は「ボールゾーンに来るフォークは、どう打つかより、いかに見逃すか」と言う。
彼が投げ分けていたカウント球のフォークは、「普通に振り出すと空振りするから、レフト方向に打つ気持ちで待っていた」という。
「そんな2人の系譜に連なる王道のフォークでは、ロッテの種市篤暉(27)がNPBではダントツ。球質自体は、同僚だった佐々木朗希(24/ドジャース)に勝るとも劣らないレベルに見えます」(前出のジャパンベースボールデータの宮下氏)
一方、昨今、主流のスプリット系では、昨季のワールドシリーズを制した山本由伸(27/ドジャース)か。
自主トレで弟子入りの中日・高橋宏斗(23)も同系統のスプリットを、直球&カットボールと組み合わせて効果的に三振を稼ぐ。
フォークと似た軌道を描くボールでは、亜細亜大出身者に受け継がれる“亜大ボール”が、野球ファンによく知られている。
その継承者の一人、オリックスの九里亜蓮(34)は、対外的には「あくまでツーシーム」と答えるが……。
宮下氏は「議論の分かれるところ」と前置きしながら、こう続ける。
「私たちは総合的な見地から、あのツーシームをフォークで分類していますが、フォークで奪った奪三振数では、先の種市や高橋を超えて、実は九里がトップ。
右打者の内角、左打者の外角をきっちり突けて、カウント球・決め球としても機能する。まさに、お手本とも言うべき“落ちる球の使い方”ができています」
ちなみに、“フォークの神様”杉下茂が絶賛したのが上原浩治のフォークだ。
「04年アテネ五輪では、捕手の城島健司に“ミットは投げてほしいところに構えていい”と宣言。その通りに数種類のフォークを自在に投げ分け、城島を唖然とさせました」(前出のスポーツ紙デスク)
04年にノーヒットノーランを達成した井川慶氏も、上原のフォークを絶賛する。
「斜めに落ちたかと思ったら、今度はその反対に落ちたり、予想を超える落ち方をする。フォークを投げない僕からすると、ただただ、すごいと脱帽でしたね」