■NHKディレクターが「大変重く受け止めております」

 カウアイ氏が発言したことは、3月17日に東京・丸の内で行なわれた、BBCが現地時間3月7日に放送した『J-POPの捕食者 秘められたスキャンダル(原題:Predator:The Secret Scandal of J-Pop)』の試写会および会見でも指摘されていたことだが、今回のジャニー氏の一件を、日本の主要メディアはまったく報じていない。

「今回の日本外国特派員協会での記者会見の際も、質疑応答の際に“朝日新聞も読売新聞も、日本テレビもフジテレビも、TBSもテレビ朝日も、NHKもみんな報じていない”と名指しして、そのせいで長い間性被害が悪化したのではないか、という趣旨の質問をした記者がいました。

 一方で、3月17日の会見には不在だったNHKが今回は出席しており、“沈黙”についてカウアン氏に謝罪に近いような言葉を発する場面もありましたね」(前出の夕刊紙記者)

 今回の記者会見で、NHK報道局のディレクターがカウアン氏に質問をする際、

《テレビメディア、とりわけ公共放送に務める者の1人として、大変重く受け止めております》

 と前置きしてから、質問を行なったのである。なお、同ディレクターの質問内容は、要約すると“入所前にジャニー氏の性被害を知っていたら、入所以外の選択をしたか?”と“家族の反応はどうだったか?”だった。

「各メディアの、特に上層部は現在もジャニーズ事務所への根強い忖度が残っていると言われますが、NHKの看板を背負って現場に立つディレクター・記者としては、思うところがあったのではないでしょうか。

 ただ、NHKは最近、ジャニーズタレントに関連した仕事がますます増加傾向にあるため、積極的な報道はこれからも行なわれないかもしれませんが……」(前同)