■ジャッジ擁する“ドリームチーム”アメリカ攻略の鍵

 侍ジャパンの一員として17年の第4回大会に出場した元日本ハム&オリックスの増井浩俊氏は、「締め方としては、それが一番きれいだと思う」と“山本由伸決勝まで温存説”を支持する。

「負けられない準々決勝は、メンタルのタフさという意味でも、伊藤大海が適任。昨季の沢村賞投手で、きっちり勝って、あとは全員で由伸へとつなぐ。それでダメなら諦めもつくし、ファンにも納得感がある気がします」(前同)

 ちなみに、そんな増井氏は、現役時代は抑えを長く務めたタフネス右腕。平良海馬(26/西武)、石井大智(28/阪神)、松井裕樹(30/パドレス)が負傷で出場辞退し、不安増大のリリーフ陣には、こう提言する。

「種市篤暉(27/ロッテ)のフォークは、間違いなく世界が相手でも通用する。

 彼を抑えにして、その前に大勢(26/巨人)。絶対的な存在がいない現状の打開策としては、それも面白いアイデアだと思います」

 では、無事に準々決勝を通過できたとして、続く準決勝の相手はどこか。

「前回と同様、アメリカと日本はおそらく決勝まで当たらない。現時点で組み合わせが“未定”なのも、そのためだと思われます。

 そうなると、プエルトリコかメキシコか。ちなみにメキシコは、WBC3連勝中と対アメリカ戦には滅法強い。ダークホースとしても注目です」(前出のメジャーリーグ評論家の福島良一氏)

 メキシコは、ノーマークだった前回も“仁王立ち”ポーズで一躍脚光を浴びたR・アロザレーナ(31/マリナーズ)らを擁して、日本を最後まで苦しめた難敵だ。

 一方のプエルトリコも、ことWBCでは準優勝2回。13年の第3回大会準決勝で日本の3連覇の野望を打ち砕いたのも、かの国だ。

「保険金問題の影響を最も受けており、主将となるはずのF・リンドア(32/メッツ)まで断念に追い込まれたプエルトリコ。

 ただ、前回はアメリカ代表の4番だったN・アレナド(34/ダイヤモンドバックス)が今回は同国代表で出場する。不満を力に変えて、アメリカを苦しめるかもしれません」(前同)

 一方、そのアメリカも今大会は、世界一奪還に向けて目の色を変えている。

 主将を務めるA・ジャッジ(33/ヤンキース)の下に集った面々は、まさに“ドリームチーム”だ。

 先発の柱には昨季、サイ・ヤング賞、P・スキーンズ(23/パイレーツ)&T・スクーバル(29/タイガース)。ただ、スクーバルが保険金の問題で、1次ラウンドのみの出場を明言した点は日本には朗報か。

「抑えに104マイル(約167キロ)右腕のM・ミラー(27/パドレス)が控えていることを考えても、少ないチャンスを、いかにモノにするかが鍵ですね」(同)

 むろん、C・ローリー(29/マリナーズ)&K・シュワーバー(32/フィリーズ)の“2冠王”らを擁する打線も、抜かりナシだが……。

「侍ジャパンもレベルの高さでは負けてない。短期決戦だけに基本的には状態のいい投手から、どんどん使って、打たれたらすぐに代える、という戦い方でいいと思いますよ」(前出の藪恵壹氏)

“世界一”再戴冠まで、気の抜けない戦いが続く。

【続編】ネットフリックス「150億放映権独占」はMLBの露骨な“読売外し”!? WBC侍ジャパン全情報では、配信大手・ネットフリックスによる放映権の独占に絡む読売新聞社とMLBとの“場外乱闘”や、各国の不満が渦巻く保険金問題の裏側などを詳報する。

福島良一(ふくしま・よしかず)
スポーツジャーナリスト、メジャーリーグアナリスト。千葉県出身。学習院高等科、中央大学商学部卒業。大学在学中から主としてメジャーリーグの評論・取材を行っている。主な著書に『日本人メジャーリーガー成功の法則 田中将大の挑戦』(双葉社)『もっと知りたい!大谷翔平 SHO-TIME観戦ガイド』(小学館)など。

増井浩俊(ますい・ひろとし)
1984年6月26日生まれ。静岡県出身。静岡高校、駒沢大学、東芝を経て、ドラフト5位で2010年に北海道日本ハムに入団。12年に最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得するなどリリーフ陣をけん引し、16年には先発も務めて2桁勝利を挙げるなど、リーグ優勝と日本一に貢献した。オリックスでも活躍し、パ・リーグ史上初の通算150セーブ・150ホールドを達成。両チームで13年間プレーし、通算163セーブ、158ホールドを記録。16年にはプレミア12、17年にはWBCにも出場した。

藪恵壹(やぶ・けいいち)
三重県南牟婁郡御浜町出身の元プロ野球選手(投手)・コーチ、解説者・評論家・YouTuber。NPBでは1994年から2004年に阪神タイガース、2010年に東北楽天ゴールデンイーグルスでプレーし、阪神時代の1994年にはセントラル・リーグの新人王を獲得、2003年にはチームのセ・リーグ優勝に貢献した。NPBにおける通算成績は279登板、84勝106敗、防御率3.58。またMLBではオークランド・アスレチックスとサンフランシスコ・ジャイアンツでプレーし、実働2年間で100試合に登板した。