■特別対談3:『刃牙』作者・板垣恵介 × 貴乃花、本場所で"不自然な取組"が減る理由を語る「明らかにガチンコなのは大の里と安青錦!」
板垣恵介氏(以下=板垣):俺が10年くらい前に相撲専門誌の取材を受けたとき、これからの若者に何か言うことはあるかと聞かれたので、今は相撲がチャンスだと言ったんです。
日本人の横綱が出たら日本の英雄になれるぞって。大の里(第75代横綱)が、まさにそうなりましたね。
貴乃花:大の里は稀勢の里さん(第72代横綱、現・二所ノ関親方)という良い師匠を持ちましたよね。それに尽きると思います。子供が親の教えで人生を決めるように、親方の教えで、その力士がどうなるか決まる。彼は、本当に"真面目"な相撲を取りますからね。
明らかにガチンコなのは、大の里と安青錦(大関)ですよ。だから今、その2人が勝てちゃうわけです。
板垣:昨年の九州場所の安青錦の優勝は見事だった。
貴乃花:師匠の安美錦(元関脇、現・安治川親方)もガチンコでしたから。
板垣:俺、あの人の相撲が好きだった。本当に上手だった。
貴乃花:2003年、私の現役最後の相手だったんですけど、彼は動きが良かったんですよ。だから、私が元気であっても、彼には負けたと思いますよ。
板垣:すごい! 俺なら、負けたら悔しくて、絶対に許さねぇぞってなっちゃうな(笑)。
豊昇龍は長く持たない
貴乃花:本音を言うと、私も負けないぞと思っていますけど、それは絶対に言っちゃいけないじゃないですか。仁義ですから。
安青錦をはじめ、東欧の子たちは一生懸命ですよね。寒い地域で、環境的にも一生懸命やらなきゃいけない民族ですし、だから真面目だと思うんですよ。
板垣:ガッツがあるんだね。それに、安青錦や豊昇龍(第74代横綱)、宇良(前頭二枚目)とか、レスリングをやっている人は落ちないですよね。
貴乃花:ただ、豊昇龍は長く持たないと思うんですよね。大の里と安青錦がガチンコで強いですし、昨年の九州場所でも安青錦に3連敗したじゃないですか。
板垣:後ろを取られていましたよね。
貴乃花:あれを見ても力の差が歴然でしょ。
■特別対談4:『刃牙』作者・板垣恵介 × 貴乃花、貴ノ岩暴行事件と電撃退職劇の真相を語る「100対1とかで密室で迫られて――」
――今年2月には理事選、理事長選が控えていますが、ゆくゆくは、元横綱・稀勢の里(現・二所ノ関親方)が理事長ということも?
貴乃花:そう思います。あと、武蔵丸さん(第67代横綱、現・武蔵川親方)。彼はクレバーですから。
それに、協会の政治なんか関係ねえと思っている。おまえら弱かったろと。弱いやつが何をたわごと抜かしてんだと。だから、一門からは嫌われちゃうんですけど。
板垣恵介氏(以下=板垣):反発が大きいと……。
貴乃花:でもね先生、これからの協会には、そういう人が必要だと思います。私は辞めてしまったけど、そういう人を理事長にしないと組織が持たないと思います。
板垣:貴乃花さんは、互助会にもそうだけど、組織には厳しかったもんね。
貴乃花:私は弟子には厳しかったけど、その弟子に何かあったら命懸けで守ろうと思ったんで、自分の在籍なんか関係なかったんですよ。「おまえ、よう俺の子供に手出してくれたな」と。
板垣:そうでしたよね。気持ちイイぐらい空気を読まないって感じで。
貴乃花:メディアにも叩かれましたからね。許し難いなと思ったのは2017年、弟子の貴ノ岩が被害を受けた暴行事件のときに、NHKが7時のニュースで、「大した傷ではありませんでした」って報道したこと。自分のことはいいんだけど、弟子のことだったんで、本当に頭にきて。
貴ノ岩は、白鵬と当たったときに(17年初場所、14日目)簡単に寄り切っちゃったわけですよ。本場所の土俵で、ガチンコでは勝てないと、横綱に分からせちゃったから許せない。それで、日馬富士を使って殴った――というのが事の顛末なんで。
そのうえ、協会は私を、どんどん攻めるわけですよ。100対1とかで密室で迫られて、そこには、私が横綱だったときに下っ端だった奴が何人もいて。"このガキども、昔だったら叩き切ってやろうか"って何度思ったことか。
迫力の戦闘スーツはフィレンツェ職人製
板垣:あのときの貴乃花さんの表情は険しかったわァ。どのニュース映像を見ても、怖え、怖え(笑)!
貴乃花:戦国時代だったら、あのときの私は、100人斬りをしてますよ。