公開後、SNSを中心に大きな話題を集めた人気格闘技漫画『刃牙』作者・板垣恵介氏と相撲界の頂点を極めた貴乃花による異種格闘対談をプレイバック。見逃した人はぜひチェック。
角界の裏話から歴代最強力士、現役力士の実力分析、さらには貴ノ岩暴行事件と電撃退職劇の真相、最強ボクサー・格闘家談義まで、タブーなき真剣対談が展開された。貴乃花が父・花田満さんから聞いた「真剣勝負」の力士たち、現役最強ボクサー・井上尚弥を「文句ナシの歴代最強」と評する理由、そして協会との確執の内幕など、ここでしか聞けない貴重な証言が満載。格闘技ファン必見の大充実した内容となっている。
■特別対談1:『刃牙』作者・板垣恵介 × 貴乃花、今だから語れる"角界裏話"「親父・花田満から聞いた"真剣勝負"の相手、北の湖は強かった!」
板垣恵介氏(以下、板垣):自分は相撲を柏鵬時代からリアルタイムで見てきたんですけど、そこから現在まで60年以上。「最強の力士」は誰かという納得する答えが出せていないんです。
朝青龍と白鵬の一番のときの土俵上での吊り合い。俺は見ていてすごく興奮したんだけど、有識者にそれを話しても「そうですかね」という顔をされて、全然、納得した感じがない。じゃあ、誰だと思うんだと聞くと、「貴乃花だ」と。「成績が"キレイ"なんだ。だから最強なんだ」、と。
貴乃花:ありがとうございます。相撲って他の競技とは比べものにならないくらい骨身にしみてキツいんです。だから皆、"やっちゃう"んです。1950年代の栃若時代ってあるでしょ、あれもですよ。
板垣:あの時代から!? 若乃花(第45代横綱)の呼び戻しとかは……。
貴乃花:中には力の差があって技が決まることもあるでしょうけど、相手も格下であろうがプロですから。相撲は無差別級の真剣勝負。だから、基本的に話が決まってないと、プロレス技みたいな大技はそうそう、かからないんですよ。
たまたま私は、親父(元大関・貴ノ花=花田満)の躾のおかげもあって、こうしていられるんですけど、子供たちには真実、真髄を日本の伝統としてつなげていくべきだと、最近つくづく思いますね。
力士は"体のIQ"がとてつもなく高い
板垣:俺は、大相撲というのは天才の集まりだと思っているんです。力士は体型から洗練されたものを感じにくいのか、伝わりにくいんだけど、もう本当に天才なんだと。そして、思いついた表現が、"体のIQ"。これが、とてつもなく高いなと思ったんです。
貴乃花:そうですか。
板垣:10倍努力したって、我々が力士のようになるのは無理なわけです。
貴乃花:でも、私は、先生のように一芸秀でる方も同じだと思いますよ。先生だって、若いときから、骨ができる前から鍛えれば、そうなれたと思います。
板垣:いやいや(笑)。俺は漫画の才能は間違いなくありますよ。しかし相撲は……。
貴乃花:先生がその才能があるということは、何をやっても才能を見出せるんですよ。これが世の中の厳しさなんです。子供たちには、そこから先を言っちゃうと、持って生まれたものがないとダメなんだよって言っているようなものだから、なかなか難しいんですけどね。
板垣:でも、まさに力士は持って生まれたものがある人たちの集まりですよね。貴乃花さんも早くから見出されたんじゃないですか?
貴乃花:私の場合、実はそうでもなくて、うちの親父が大学までは行ってくれと、力士とは違う生活をしてくれという育て方でした。
■特別対談2:『刃牙』作者・板垣恵介 × 貴乃花、現役時代に一番強いと思った力士「彼が本気でやったら、誰も勝てない」
――前回、マスコミから注目される環境から逃げたくて、相撲部屋に入門したと語った貴乃花さん。
板垣恵介氏(以下、板垣):入門したら、しごかれ放題じゃないですか。
貴乃花:それよりも、マスコミから逃げたかったんです。当時15歳のガキだった私をさんざん追いかけ回して、本当に異常だなと感じていたんですよ。
板垣:とはいえ、入門したら何が起こるかも分かっていたハズですよね?
貴乃花:それが、子供だから全然、分からなかったんです。相撲部屋の稽古といっても、1年に何回か見学する程度だったので。お兄ちゃんたちが泥だらけになって頑張っているなと、後ろで正座して見ていましたね。
板垣:いざ、相撲の世界に入ってみて、どうでした? 男のほうがって言うくらい、皆、ジェラシー強いじゃないですか。意地悪するじゃないですか。
貴乃花:それは半端じゃないですよ。殺しにかかってきますから。しかも、1対1でかなわないと思うと、人数で固めてくる。
悲しかったのが、部屋頭のお兄ちゃんが、そういうことをしてきたんですよ。15歳の私にはカルチャーショックでしたし、それよりも一番、悲しんだのは親父でしたね。手塩にかけた部屋頭が、俺の息子に、こんなことをするのかと。
板垣:苦しんだんだ……。
貴乃花:親父も、「あいつだけは親方で残さない」と、ポロッとこぼしたそうです。でも後年、その部屋頭を私は親方として残したんですよ。最終的には、その人にも裏切られましたけどね。
貴乃花が闘った角界最強力士は…
板垣:貴乃花さんが、現役時代に一番強い、と思った力士は?
貴乃花:かっこつけて言うわけじゃないんですが、自分が一番の脅威でした。
板垣:自分との闘いだった?
貴乃花:そうです。自分をしっかり制していれば、もう一人の自分に負けなければ、勝負ができると思っていましたから。それだけに常に鍛えておかなきゃいけないと、思っていた。
板垣:コンディション作りという言い方で。
貴乃花:まさにそれですね。大関になる力士はみんな鍛えているから自分の形になると、やっぱり強いんですよ。
2001年夏場所では武双山ともやりましたが、彼も強かった。