武田鉄矢が、心を動かされた一冊を取り上げ、“武田流解釈”をふんだんに交えながら書籍から得た知見や感動を語り下ろす。まるで魚を三枚におろすように、本質を丁寧にさばいていく。
朝日新聞社を定年退職した著者が、一念発起してバルセロナで豆腐屋をオープンするという一大冒険記『バルセロナで豆腐屋になった~定年後の「一身二生」奮闘記』(岩波新書・清水建宇著)を題材に取り上げておりますが、皆さんも、ご自身に当てはめて、ちょっと考えてみてください。《#01はこちらから》《#02はこちらから》
定年という人生の節目を迎えて、自分が長年携わってきた分野とはまったく関わりのない職業を、しかも日本を遠く離れた異国の地スペインのバルセロナで始めようという清水さんの決意。豆腐づくりのイロハから修業して、スペイン語を学び、豆腐製作機材を買い集め、バルセロナに飛んで豆腐屋物件を探す。清水さんのバイタリティたるや、ものすごいものがあります。
ここでまずは清水さんが豆腐屋開業準備を始めた、2008年当時のバルセロナの状況を見てみましょう。
人口は160万人。これは神戸市とほぼ同じ。通貨がユーロに切り替わり(2002年1月に流通開始)、ちょうど不動産バブルが弾けた頃(2008年春)。その年の9月にアメリカでリーマンショックが起きると、ダブルパンチでスペイン経済は混乱の極みと化して、どん底へと落ち込んだ。世界中をすさまじい不況が襲う状況下で、清水さんの豆腐屋開業準備が始まったわけですね。