■震災後のタワマン“価値”の下落幅は…
逃げようにも行き場がない。震災時、タワマン住民は避難所にも入れてもらえない可能性があると、行政が事実上認めているという。
「避難所は自宅に留まると命の危険がある人を収容する施設です。建物が壊れていないタワマンの住民は対象外になる。中央区の担当者に“勝どきや晴海に、これだけタワマンが林立しているのに、住民が全員押し寄せたら、どうするんですか”と聞いたところ、“想定していません”とはっきり答えられました」(前出の住宅ジャーナリストの榊淳司氏)
つまり、行政の想定ではタワマン避難民は存在しないも同然。水も電気も止まる中、それでも“自宅”に留まるしかないのだ。
「住み慣れた高層階が一瞬にして脱出不可能な檻に変わる。これがタワマン地獄の実態です」(前同)
最後に、さらに地獄が待っている。
資産価値の暴落だ。
現在のタワマンは庶民に手が届かぬ価格にまで高騰しているが、「今のタワマンは完全にバブルです。震度7の地震が来たら人々はタワマンの脆弱性を目の当たりにし、一気に目が覚めるでしょう。今、3億円で売っている物件が1億でも売れなくなるかもしれない。4分の1、5分の1になっても不思議ではありません」(同)
「勝ち組」が高いローンを組んで買った湾岸タワマンが、ある日突然、電気も水も使えない“空中牢獄”と化す――。
その日は明日かもしれない。
榊淳司(さかき・あつし)
不動産ジャーナリスト・榊マンション市場研究所主宰。1962年京都市生まれ。同志社大学法学部、慶應義塾大学文学部卒業。主に首都圏のマンション市場に関する様々な分析や情報を発信。『マンション格差』(講談社)、『マンションは日本人を幸せにするか』(集英社)など著書多数。