医療の世界は日進月歩。昨日まで正しかったことが否定される、そんな逆転現象も珍しくない。肉より魚、1日1万歩――。疑いもなく信じてきた昭和の常識が、ときには健康を損ない、命の危険を招くことさえある。「昭和の常識」は「令和の非常識」。人生100年時代を健やかに生き抜くための“令和の新常識”を、4つのテーマに分けて徹底調査した。
睡眠と入浴は体を整える最良のメンテナンスだが、やり方次第で、かえって寿命を縮めかねない。その代表例がサウナで汗を流すという健康法である。
「本場フィンランドのサウナが室温80度前後で湿度も高いのに対し、日本では、100度近い高温・乾燥型が主流。体内の水分が失われ、血液がドロドロになりやすく、その状態で冷水との交代浴をすると、血圧が急激に変動し、心筋梗塞などを招くリスクがあります」(専門誌記者)
飲みすぎた次の日は入浴で汗をかいて、お酒を抜くという昭和の常識なんて、もってのほか。『長生きするのはどっち?』(あさ出版)の著者で、総合内科専門医の秋津壽男氏は、こう指摘する。
「二日酔いの症状は主に脱水が原因です。お酒の利尿作用で水分が急激に失われ、頭痛や吐き気、食欲不振などを引き起こす。その状態で汗をかくと、より深刻な事態を招きます。飲酒後の風呂やサウナは百害あって一利なしです」
サウナは体調が万全のとき、ほどほどに楽しむべし。
睡眠の格言では、「22時~深夜2時のゴールデンタイム」が、有名だ。その時間帯に眠ることで成長ホルモンの分泌が促されるといわれてきたが、実は、これも間違い。
「最新の研究で、睡眠の導入時間は関係ないことが分かりました。大切なのは、“入眠後90分間をぐっすり眠ること”。成長ホルモンは、入眠直後のノンレム睡眠(深い睡眠)の段階で多く分泌されます。その時間帯の睡眠の質を高めるのが、令和の新常識です」(前同)
そのための準備はしっかり行ってほしい。
「22時だからといって、無理に布団に入る必要はありません。大切なのは、自然に眠れる状態を整えること。
目から入る光で脳を覚醒させるスマホは控える、就寝前のカフェインも避ける。また、入浴で体をしっかり温めるなどの工夫をして、スムーズな入眠を目指しましょう」(同)
また、睡眠不足を補おうと、休日にたっぷり眠ってリセットする――。そんな“休日の寝だめ”は、かえって逆効果なので、やらないこと。
「そもそも人間には寝だめという機能がありません。睡眠負債を解消するために、しっかり眠るのはよいことですが、“明日は徹夜作業だから今のうちに寝ておこう”とか、“徹夜明けだから、ベッドで1日中、横になっていよう”という帳尻合わせはできないんです」(同)
では、どうすればいいのか?
「リフレッシュしたいなら、日中はできるだけ体を動かして、夜にぐっすり眠れるようにする。翌朝、すっきり目が覚めれば、それで体のリセットは完了です。大切なのは睡眠時間ではなく、自分の感覚です」(同)