■熊本編2週目で明確に失速……その原因は――
錦織(吉沢)は、ヘブンが松江にいた頃の親友。第23週(3月9日~13日)では、当初は何も相談せずに熊本へ引っ越したヘブンに怒っているようにも描かれていたが、実際にはヘブンのことをずっと気にかけていて、熊本に越してからのヘブンが作家としてスランプであることも見抜いていた。
錦織が発破をかけることでヘブンはやる気を取り戻して本を書き上げるも、ほどなくして錦織はこの世を去って――という展開が描かれた。演じた吉沢は、錦織の余命いくばくもない雰囲気を表現するため、1か月で13キロも減量するという役者魂も話題となった。
そんな錦織の最期が描かれた3月13日放送回の世帯視聴率は15.3%(関東地区/ビデオリサーチ調べ)。このところ『ばけばけ』は14%台の回が続いていたが、久しぶりの15%台だった。
『ばけばけ』の視聴率を巡っては、舞台が熊本に移った第20週(2月16~20日)以降、勢いが落ちていた。週平均視聴率が15%台だったのは熊本編初週にあたる第20週の15.1%が最後で、第21週(2月23日~27日)は14.4%。第22週はわずかに上昇したが、それでも14.7%だった。
第21週の数字が低かったのは、2月23日の視聴率が祝日だった影響で13.6%と朝ドラとしてはかなり低調だったが、最大の要因として熊本編が不評だったことが言われている。
熊本編では、“失くしたパンの焼き網を探す”“生活に刺激が欲しくて父・司之介が小豆相場に手を出すもプラマイゼロで終わる”など、本筋が全く動かないような、さらに言うとなくてもいいように感じられる話が続いた。
“小泉八雲が熊本での生活を退屈すぎると嘆いていた”という史実をドラマでも再現したかったのだろうが、そのことによって『ばけばけ』も“つまらないドラマ”になってしまったようだ。
第20週の熊本編の1週目の時点で視聴者が“つまらない”と感じ、徐々に見るのを止めてしまったところがあるだろう。前述のように第21週で明確に下降したのだ。視聴率だけで言えば、舞台を松江から熊本に移したことが“痛恨”だったとも言えそうだ。
吉沢演じる錦織だけでなく、小日向文世演じるトキの祖父・勘右衛門や、トキの親友・サワ(円井わん/28)といった松江編の人気キャラクターたちが出なくなったことも、人気低下に拍車をかけたとも言われている。
そんななか、第23週(3月9日~13日)で吉沢演じる錦織の再登場が予告され、『ばけばけ』はあらためて話題に。彼が登場した同週は毎回Xでトレンド入りするなど注目を集め、彼とヘブンの集大成とも言える3月13日放送回は、前述の通り久しぶりに高視聴率15.3%を叩き出したのだった――。
1か月で13キロ減量というとんでもない役作りと、命を懸けてヘブンを救った錦織を繊細かつ大胆に演じ切った『国宝』俳優・吉沢はやはり偉大だった。
『ばけばけ』は残り9話――最終回はもうすぐそこに迫っている。
特撮・ドラマ・映画ライター・トシ
幼少期に『仮面ライダーアギト』を観て複雑なシナリオに「何かとんでもないモノがスタートした!」と衝撃を受け、平成ライダー、そして現在放送中の令和ライダーを筆頭に、特撮作品を愛するように。
特撮出身の俳優を追う過程で一般ドラマや映画の世界にも興味を抱くようになり、旬なドラマ・映画は欠かさずチェック。エキストラとして作品に参加し、阿部サダヲや藤原竜也など一流の俳優陣の生の芝居に衝撃を受けることもしばしば。