冬ドラマが最終回を続々と迎えている。今期は冬季五輪とWBC1次ラウンドの中継にかぶることが多く、低視聴率に沈む作品が多かったが、内容は輝いていたものもある。それらを紹介しよう。

 まず、杉咲花(28)主演の『冬のなんかさ、春のなんかね』(日本テレビ系/水曜午後10時~)は、恋人はいるものの「きちんと人を好きになること」を避けてしまっている小説家の土田文菜(杉咲)をめぐる、“考えすぎてしまう人”のためのラブストーリー。全話平均視聴率(ビデオリサーチ調べ/関東地区)は第9話(3月18日放送)の段階で3.3%と低調だ。

 地上波ドラマとは思えない、思い切った内容の本作。劇場用の映画にしか見えない長回し映像、独特な間合いの会話劇、そして、本作で初めて地上波GP帯の連続ドラマで脚本・監督を務める、映画監督・今泉力哉氏ならではの空気感。作り手側の「気に入ったら見てください」という強烈なメッセージを感じさせる、見る人を選ぶ内容のため、初回こそ平均世帯視聴率は3.8%だったが、2%台に撃沈することも。

 一方、X上では称賛の声が多く、内容は連ドラというより、ミニシアター系の映画を語っているよう。それは、モノローグはあるものの、その場の説明的な描写がほとんどなく、視聴者に委ねる作りであるためだろう。途中離脱しないで見続けている視聴者には、本作の魅力がちゃんと届いていると思われる。

 今泉氏も公式サイトで「“私は文菜のことがすごくわかる”とか“自分だけかもと思っていた悩みや苦しさを描いてくれている”と思ってくれる人が必ずいると信じて脚本を書いています」とコメント。限られた人に届けることを狙っていたようで、数字は低くても、ある層には強烈なインパクトを残したといえる。