■全母を泣かせたTBS系『未来のムスコ』
そして、志田未来(32)主演の『未来のムスコ』(TBS系/火曜よる10時~)は、阿相クミコ氏の原作と、黒麦はぢめ氏による漫画の同名コミック(集英社)のドラマ化。恋も仕事も夢も行き詰まった汐川未来(志田)のもとに突然現れた、“未来のムスコ”だと名乗る颯太(天野優/5)が巻き起こす、時を超えたラブストーリー。全話平均視聴率は第9話(3月17日放送)の段階で4.7%と、人気枠「火曜ドラマ」でワースト2位の数字だ。
物語の序盤は、育児なのか、恋愛なのか、キャリアなのか、テーマがぼんやりして分からない感じだった。だが、とにかく志田の演技が素晴らしく、未来が人生の崖っぷちで耐える姿から、女優を目指すことに反対していた実家の母との和解や、颯太と母子の絆を深める過程は、志田ならではの丁寧で幅の広い演技が光った。
中盤以降は視聴率こそ冬季五輪の影響で伸び悩んだが、配信サービス・TVerのお気に入り登録数は、終盤になっても伸び続けて好調。颯太の父親・“まーくん”候補が3人と、未来の恋愛要素が渋滞する懸念があったが、不器用な元彼、優しい幼なじみ、一途な年下と、キャラをわかりやすく分けたうえ、それぞれの立ち位置をうまく演じて回避した。
また、“まーくん探し”の恋愛要素と、颯太がミライへ戻る“タイムリープ”を軸にしたSF要素も、前者に「将生(塩野瑛久/31)、雄太(小瀧望/29)、真(兵頭功海/27)」、後者に「圭(萩原護/22)」と、別のキャラに担当させてかぶらなかったため、ストーリーがごちゃつくことはなかった。
そして、なにより子役の天野の演技が素晴らしすぎて、毎回、《子役ちゃん上手すぎだし、ちょうどもうすぐ5歳になる息子がいるからあのママママ言う感じとか、こっちがいっぱいいっぱいになる感じとか、色々重なって最後ボロボロ泣いちゃった》などと、母親らしき視聴者から絶賛の声が。序盤のごちゃつきがなければ、もっと数字は伸びたかもしれない。
冬季五輪とWBCで、かすんだ感が否めなかった冬ドラマ。配信サービスで後追いできる場合もあるし、見逃すのはもったいないので、チェックしてみてはいかがだろうか。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。