■鮮魚を食べられるのは限られた家庭だけに!?
「エンゲル係数28.6%という数字は、生活の余裕が完全に削ぎ落とされた状態。特に刺身のような生鮮食品が敬遠される背景には、価格高騰だけでなく、調理に伴う光熱費の負担を極限まで減らしたいという消費者の切実な防衛本能も働いているでしょう」(生活情報サイト編集者)
世界に誇る“日本食”。一汁三菜を重んじ、色彩豊かで栄養バランスに優れた食卓は、これまで高い評価を得てきました。
「本来、豊かな食文化を誇っていた日本において、所得格差がそのまま栄養格差、ひいては健康格差に直結するリスクが高まっています。刺身の盛り合わせを普通に買えなくなっている今の状況は、社会構造そのものの歪みを反映していると言わざるをえません。このままでは、日本の伝統的な魚食文化そのものが、家計の重圧によって押し潰されてしまう恐れがあるのではないでしょうか」(前同)
前述の家計調査によれば、2人以上の世帯の食費は月平均で約9万円に達しており、物価高騰により月1万円、年間で約12万円もの食費増を強いられている状況です。
これは、週末に家族で囲んでいた「2000円の刺身」を年間60回諦めなければならない計算になり、「毎週の楽しみ」が奪われてしまったと言っても過言ではありません。食卓から旬を味わうという日常の彩りが消えていく現状は、私たちの生活の質が音を立てて崩れている証左のようにも感じられます。
戸田蒼(とだ・あおい)
トレンド現象ウォッチャー。大手出版社でエンタメ誌やWEBメディアの編集長を経てフリー。雑誌&WEBライター、トレンド現象ウォッチャーとして活動中。