■史実では八雲の没後も交流が続いた

 アメリカ在住のイライザ(シャーロット)は、ヘブン(バストウ)の新聞社時代の元同僚。彼の結婚後、作家として人気が衰えてからも応援していた。しかし、彼の遺作となった『KWAIDAN』は当時のアメリカではさほど話題にならず。イライザはなぜ彼がいまさらこんな作品を書いたのかもわからなかったようだ。

 ヘブンの死後、トキの家を訪れたイライザは、ヘブンが『KWAIDAN』を書いたきっかけがトキのお願いだと知り激高。イライザはトキに、ベストセラー作家として大事な時期だったのにすべて台無しだと言い、彼女を責め立てる様子が描かれた。

 そして去り際、通訳・錦織丈(杉田雷麟/23)がイライザに、トキをフォローする言葉を話しかけると、イライザは「代わりにおトキさんに書いてもらってくれない?」「小説、いや回顧録を」「おトキさんにしか書けないものがあるはずだから」とキレ気味に言い放つ。最後には「レフカダ(ヘブン)のためよ」と鼻をすすりながらも、笑顔で家を後にした。

 上記の展開には、

《あの女にしか知らないレフカタがいるならばそれを知りたい。レフカタの全てを明らかにして、彼の汚名を返上したい。そのためなら彼のキャリアを台無しにしたおトキですら使うという、彼女の仕事の伴侶としてのプライドが凄まじくて、わたしはイライザをどうにも責められない》
《誰よりもヘブンの才能を買っていたイライザにとって、「妻子に読ませるための民話集」を書いたせいで彼のアメリカでの評価が不当に低いまま終わったことが許せなかったんだろう》

 といった理解を示す声もあるものの、《遺族に言うことじゃない》《トキがかわいそう》などの声も殺到。最終回を前に、イライザは視聴者から嫌われてしまった。

 そんなイライザは、最終回に登場することも、その後が語られることもなかったが――彼女のモデルとされるエリザベス・ビスランドは、セツとの関係が良好だったことで知られる。

 セツの追想録『思ひ出の記』の一部は、エリザベス・ビスランドが執筆・編集した『ラフカディオ・ハーン 伝記と書簡集』(1906年)に収録されたが、この本の印税をすべてセツとその家族に贈呈したという深イイ話も。

 また、彼女は3度来日し、そのたびにセツの家を訪れるなど交流が続いていたこと、ワシントンDCの自宅には「音無庵」と名付けた部屋を設け、お茶会などを開くなど、親日家だったことなども明らかとなっている。

『ばけばけ』のイライザも、トキに理解を示す描写はあった。ドラマ内では描かれなかったが、史実のようにヘブンの没後も、交流が続いたのかもしれない――。

特撮・ドラマ・映画ライター・トシ
幼少期に『仮面ライダーアギト』を観て複雑なシナリオに「何かとんでもないモノがスタートした!」と衝撃を受け、平成ライダー、そして現在放送中の令和ライダーを筆頭に、特撮作品を愛するように。
特撮出身の俳優を追う過程で一般ドラマや映画の世界にも興味を抱くようになり、旬なドラマ・映画は欠かさずチェック。特撮俳優のさらなるステップアップ枠で知られる朝ドラも見逃さない。エキストラとして作品に参加し、阿部サダヲ藤原竜也など一流の俳優陣の生の芝居に衝撃を受けることもしばしば。