3月に行なわれたWBC(ワールドベースボールクラシック)はテレビで放送すべきだった——。試合を中継したNetflixが公表した今大会の視聴者数を見れば、そう言いたくなる視聴者も少なくないだろう。
「今回のWBCを国内独占放送したNetflixが、3月25日に視聴データを公開。同社のデータによると、3月8日に行なわれた日本対オーストラリアの一戦は1790万人が視聴。この数字は、映画、アニメ、その他スポーツ中継など、Netflixの単一タイトルとして国内最多の視聴数だといいます」(民放キー局関係者)
ただし、その数字は2023年に行なわれ、テレビ朝日で放送された前回大会の決勝戦となる日本対アメリカの視聴者数と比べると大幅に減少しているという。3年前に地上波生中継された世紀の一戦は平均世帯視聴率42.4%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)を記録。大谷翔平選手(31)がアメリカ代表の主砲マイク・トラウト選手(34)を三振に仕留めた勇姿を、約4000万人が視聴した計算だ。
この結果だけを見れば物議を醸したNetflixによるWBC独占配信は、前回大会の半分以下の視聴者しか引きつけられなかったことになる。そして、WBCの配信をきっかけにNetflixが新規加入者を爆発的に増やしたかというとそうではなかったようだ。
「共同通信が3月7日〜8日に行なった世論調査では、“WBCを見るために新たに契約、もしくは契約予定”と答えたのは全体の4.9%でした。日本の世帯数はおよそ5500万。WBCをきっかけに新規にNetflixへと加入したのは、およそ270万世帯となる計算です」(前同)
Netflixの利用料金は一番低額となる広告付きのスタンダードプランで月額890円(税込)。今年2月19日~3月18日まで行われていた「ワールドベースボールクラシック応援キャンペーン」期間中に加入者となれば、最初の1か月間は一番低額のプランが498円。つまり、NetflixはWBCをきっかけにこの1か月で13億円以上の金額を稼ぎ出すことに成功したわけだ。しかし、今大会を放送するためにNetflixが大会主催者へと支払った放映権料は150億円。
「WBCを目当てに加入した視聴者は、大会終了のタイミングでサービスを解約する人も少なくないでしょう。NetflixがWBCを配信したことで、“大きな利益”を手にすることができるのかは未知数です」(前同)
となると、次回以降のWBCでは再び、躍動する侍ジャパンの選手たちの姿を地上波放送で拝むことができるのか——。
元テレビ朝日プロデューサーの鎮目博道氏は、「地上波テレビがWBCを取り戻すのは現実的ではない」と話し、続ける。
「テレビは番組単位の広告収入で成り立っているため、それに見合うだけの広告料が取れなければ採算が取れません。
WBCの試合は決勝ラウンド以降、アメリカで開催されるので、時差の関係で日本では深夜や早朝、そして多くの人が働いている午前中の時間帯に放送することになる。その時間帯でスポンサーに売れる広告料を考えると、仮に今回大会でNetflixが獲得した1790万人もの視聴者数を獲得したのと同じ10%台後半の視聴率が取れたとしても、海外ロケなどの予算や高騰した放映権料を考えると、採算を取るのは難しいでしょう」