愛車のETCの調子がどうにも悪くなり、観念して車載器を買い替えた本サイト記者。

「こんなところまで出費か……」

 苦笑しながら電源を入れると、流れてきたのは聞き覚えのある声だった。

「ETCカードが挿入されていません」

 ただの音声案内のはずなのに、妙に耳になじむ。いや、この感じは――アニメ『タッチ』の南ちゃんではないか?

 実際に調べてみると、パナソニック製ETC車載器の一部機種では、『タッチ』浅倉南や『となりのトトロ』草壁サツキで知られる日高のり子が音声案内を担当していることが公式に案内されていた。

「カーナビの世界でも、声優の声はかなり進出しています。『Yahoo!カーナビ』の『推しドラ』では、お気に入りの音声とアイコンでナビを楽しめる有料オプションが展開されています。『けいおん!』中野梓役などで知られる竹達彩奈さんをはじめ、俳優と声優の二刀流で注目津田健次郎等、人気声優を続々と起用。ファンの間では“もはや助手席に推しが座っている感覚”とも受け止められていて、声の力で運転に楽しさや特別感が持ち込まれています」(アニメ誌記者)

 カーナビといえば音声案内が命。単なる電子音声よりも、こちらのほうがドライブも楽しくなるというものだ。だが、カーナビだけではなかった。

「ノーリツの『わかすアプリ』では、『おふろが沸きました』の音声を着せ替えできる『おふろのずかん』を展開しています。2022年の諏訪部順一さんを皮切りに、西山宏太朗さん、岡本信彦さんと続き、2025年には江口拓也さんも参加しました」(前同)

 声優は今や声の職業というだけでなく、声優自体の“アイドル化”も進み、芸能人並みの人気を誇っている。そう考えると、その人気にあやかるのも納得なのだが、さらに調べていくと、驚きの事実が――。

「有名声優の声は今、生活のあちこちに入り込んでいるんです。たとえば京成電鉄は2024年、京成四ツ木駅の案内放送を刷新。案内放送に『キャプテン翼』の主要キャラクターの声を起用していますし、コンビニATMでも、ローソン銀行は『いらっしゃいま声優ATM』という企画を継続的に実施して、2025年には期間限定で『ラブライブ!』園田海未役で知られる三森すずこさんがスタート音声を担当しました。ちなみに声優さんではありませんが、セブン銀行も2025年からATMの一部音声を俳優・賀来賢人さんのオリジナルボイスに変更する期間限定プロモーションを展開しています」(前同)
この流れには地方自治体も乗り遅れてはいない。

「箱根町観光協会では『箱根エヴァ化計画』という観光コラボ企画の一環として、『新世紀エヴァンゲリオン』葛城ミサト役でおなじみの三石琴乃さんの車内放送を実施。荒川区では防犯・交通安全の注意喚起音声を同区出身で『ドラゴンボール』孫悟空の声で知られる野沢雅子さんの声を起用しているんです」(同)