■NHKのお気に入りな福地桃子

 災害後の奥能登の状況を丁寧に描写しながら、みんなひとつとなっての再生に向かっていく物語に、《しんどいけれど良いドラマ》という声も。震災を経験した能登の人たちがエキストラとして出演しているので、演技に難はあっても、その佇まいはリアルで、みんなで太鼓の音に心と体をまかせるシーンも良かった。

 そして、なにより素晴らしいのはカナデを演じる福地の演技だ。なにか訳ありっぽい大阪時代を引きずった表情から、地震で倒壊した家の廃材で銭湯のお湯を沸かすことを知ったときの変化など、実に巧みだった。視聴者の指摘にもあるが、滑舌も良く、ふるまいもうるさすぎず的確で、安心して見ていられる俳優だ。

 福地はこれまでも、21年『きよしこ』、22年大河ドラマ鎌倉殿の13人』、23年『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』、25年『照子と瑠衣』など、NHKのドラマに数多く出演してきた同局のお気に入り。これだけ華があって演技もうまいとなれば、朝ドラヒロインに選ばれてもおかしくはない。

 朝ドラヒロインというと、若手俳優の登竜門をいうイメージがあったが、最近はそうとも言えない。23年前期『ブギウギ』の趣里は当時32歳、24年前期『虎に翼』の伊藤沙莉は29歳。さらに、今年後期予定『ブラッサム』の石橋静が31歳なのだから、28歳の福地にも朝ドラヒロインの可能性は十分にあるだろう。

 朝ドラヒロインは、21年前期『おかえりモネ』から25年前期『あんぱん』でヒロインの今田美桜(29)や、16年前期『とと姉ちゃん』から、20年前期『おちょやん』でヒロインの杉咲花(28)のように、かつて朝ドラに出演していたパターンが多い。

 福地も、19年前期朝ドラ『なつぞら』で、ヒロイン・奥原なつ(広瀬すず/27)が育った酪農家の娘・夕見子役で出演している。ヒロイン候補というと、最近だと芦田愛菜(21)や原菜乃華(22)の名前があがっているが、本作で福地が最右翼に躍り出るかもしれない。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。