■“当たりクジ”を引いたのに…

 そもそも、曲がりなりにも“盟主”と呼ばれてきた巨人が、こんな体たらくになったのは、なぜなのか。

 読売グループ内の事情にも明るい球団関係者の一人は、「ドラフト戦略」を要因に挙げて、こう続ける。

「少し前までは逆指名とFAで、有力選手は黙っていても巨人に来た。そこに、あぐらをかいてきたツケが回ってきたんですよ。

 向こうから“入りたい”と言ってくるんだから、目利きの確かなスカウトが育たない。“スター不在”には、なるべくしてなったんです」

 その最たる例が、巨人が珍しく当たりクジを引き当てた2022年のドラフトだ。

 浅野翔吾(21)は確かに逸材には違いないが、阪神と競合したのは、“ガチンコ対決”を企図した当時の岡田彰布監督のパフォーマンス的な側面が強い。

 堀内恒夫ら大物OBからも“今の巨人に高卒野手を育てる余裕はあるのか”と異論が噴出した。

「クジを外した岡田阪神が獲ったのが、今や侍ジャパンでも主軸を務める森下翔太(25)。森下は東海大相模&中大卒で、それぞれ原辰徳&阿部監督の出身校。結果論でしかないですが、最初から森下を獲れば良かったんです。

 岡本和真(29)が遠からず出ていくことは、あの時点でも十分、予想はできていたわけですから」(前同)

 その言葉を裏付けるように、近年は憧れの移籍先として巨人は、すっかり大リーグの後塵を拝している。

 円安の煽りで外国人の有望選手も、日本まではやって来ないのが実情だ。

「以前にも増してフロントの手腕が問われる状況にもかかわらず、巨人では、そこが水野雄仁や吉村禎章ら、現役時代に活躍した功労者への“恩賞”ポストのようになっているんですから、残念です」(前同)

 ここ数年の戦力不足は編成の責任が大きいようだ。

「例えば20年の阪神なんて、ドラ1の佐藤輝明(27)を筆頭に5位の村上頌樹(27)、6位の中野拓夢(29)、8位の石井大智(28)と、多くが昨季Vの原動力になっていますからね」(同)

 巨人の厳しい戦いは、しばらく続くかもしれない。

 

【後編】阪神は先発候補が余って仕方ない!?開幕三連戦で明らかになった巨人との“明暗”有力OBが語るライバル対決の秘策では、ライバル阪神の戦力を徹底検証。“勝てば官軍”とばかりに、結果で批判を押さえ込む阪神・藤川球児監督とマスコミの場外乱闘や、リスク管理の問題などを詳報する。《【後編】はこちらから》

角盈男(すみ・みつお)
1956年生まれ。鳥取県出身。米子工業高校から、三菱重工三原を経て、1976年のドラフトで3位に指名され、77年に長嶋茂雄監督率いる読売ジャイアンツに入団。78年新人王、81年最優秀救援投手に輝く。オールスター出場2回、リーグ優勝で有終の美を飾る。実働15年の通算成績は618試合で38勝60敗99セーブ、防御率3.20。引退後、元祖ベースボールタレントとして活躍するかたわら、ヤクルトの投手コーチを経験し、球団の日本一に貢献。97年には古巣・巨人の投手コーチに就任し、長嶋監督とヤクルトの野村克也監督の下でコーチを経験した唯一の存在でもある。『日本の魔球がメジャーを制す!』(宝島社新書)『野村ノートの読み方~個を再生し、組織を立てる~』(光文社)など著書多数。