■必死な巨人と横綱相撲の阪神

 巨人とは対照的な“横綱相撲”の戦いぶりには、巨人OBの角盈男氏も舌を巻く。

「現時点で、すでに必死な巨人にはない長いシーズンを見越した余裕を感じた」

 それを受けて前出の藪氏が、さらに、こう続ける。

「そのあたり、藤川監督はドライだから。中川の抜擢に関しても、“育てる”というよりかは、“チャンスはあげるから、あとは、なんとかして自分で掴み取れ”という意味合いが強い。それが証拠に、2カード目からは早くもスタメンからは外してたしね」

 実際、今の巨人には、期待の石塚裕惺(20)あたりを辛抱強く使って育てるような余裕は皆無のようだ。

 吉川尚輝(31)の復帰までは、まだ計算の立つ浦田俊輔(23)らで、なんとか、やり繰りする以外にない。

「選択肢が他にないという現状を逆手に取って、カードがひと回りするまでは、好きなようにやればいい。今こそ“阿部野球”を前面に打ち出すときでしょう。

 それこそ私が現役だった頃の藤田(元司)監督なんかは、1死からでもバントをさせて貪欲に1点を取りにいった。得点力がない以上、手段を選んでる場合じゃないんです」(角氏)

 ただ、選手層という部分では、3軍制を敷く巨人は、まだ恵まれているほう。

“ポスト岡本”とまではいかずとも、きっかけ次第でブレイクしそうな若手はいくらでもいるだろう。

 他と比べても、ことさら風当たりが強いのは、人気球団の宿命。

 日本野球の盛り上がりを左右する“伝統の一戦”から今季も目が離せない――。

 

【前編】巨人VS阪神“宿命のライバル対決”大予想、阿部慎之助監督は「当ててもかまわない」と若手投手に猛檄では、読売グループ内の事情にも明るい球団関係者が指摘する巨人低迷の「構造的な欠陥」や、球団64年ぶりの新人開幕投手となったドラ1左腕・竹丸和幸の「2ケタ勝利の可能性」なども詳報している。《【前編】はこちらから》

藪恵壹(やぶ・けいいち)
三重県南牟婁郡御浜町出身の元プロ野球選手(投手)・コーチ、解説者・評論家・YouTuber。NPBでは1994年から2004年に阪神タイガース、2010年に東北楽天ゴールデンイーグルスでプレーし、阪神時代の1994年にはセントラル・リーグの新人王を獲得、2003年にはチームのセ・リーグ優勝に貢献した。NPBにおける通算成績は279登板、84勝106敗、防御率3.58。またMLBではオークランド・アスレチックスとサンフランシスコ・ジャイアンツでプレーし、実働2年間で100試合に登板した。

角盈男(すみ・みつお)
1956年生まれ。鳥取県出身。米子工業高校から、三菱重工三原を経て、1976年のドラフトで3位に指名され、77年に長嶋茂雄監督率いる読売ジャイアンツに入団。78年新人王、81年最優秀救援投手に輝く。オールスター出場2回、リーグ優勝で有終の美を飾る。実働15年の通算成績は618試合で38勝60敗99セーブ、防御率3.20。引退後、元祖ベースボールタレントとして活躍するかたわら、ヤクルトの投手コーチを経験し、球団の日本一に貢献。97年には古巣・巨人の投手コーチに就任し、長嶋監督とヤクルトの野村克也監督の下でコーチを経験した唯一の存在でもある。『日本の魔球がメジャーを制す!』(宝島社新書)『野村ノートの読み方~個を再生し、組織を立てる~』(光文社)など著書多数。