■自分主導で老いを引き受ける
これはサービスに関する話ですが、私はね、“年齢”に関しても同じだと思うんだ。やってくる年齢に任せて老いをそのまま受け入れちゃダメなんだ。自分から年齢を迎えにいって、自分主導で老いを引き受けるべき。
漫然と老いを受け入れるのではなく、自分から老いと向き合ってこそ、ただの老いぼれじゃない、年齢に付加価値をつけることができるような気がするんだ。
著者はふだん、あまり聞き慣れない言葉を使って、付加価値のつけ方について解説しております。
それが「ナラティブ」。
この「ナラティブ」というのは、「物語」とか「語り」を意味する言葉で、その商品(あるいは人や物事)にストーリーをつけること。本書には、こんな例が紹介されております。
群馬県高崎市のシティプロモーションの一環としてスタートした、「絶メシ」というプロジェクトがあります。(中略)そういった絶品だけど絶滅の危機に瀕している店の料理を「絶メシ」と命名し、ウェブ上で紹介していくなどのプロジェクトです。このウェブでは、単に料理を掲載するだけではなく、店主とお店の歴史や思いなど、さまざまなストーリーもからめながら紹介をしています(柿内尚文.『このオムライスに、付加価値をつけてください』. ポプラ社, 2025)
このストーリーが、まさに“ナラティブ”。店主とお店の歴史や思いを付け加えることで、ただの料理じゃなくなる。つまり料理に付加価値をつけることになる。
例えば先のレストランのサービスでいえば、ホールスタッフがお客さんを席に案内する際に、「この席は当店では最も見晴らしのいい席でございます。春先には桜が満開に咲き誇り、それはそれは美しい景色でございます」なんてことを話すと、そこに物語が生まれてナラティブになる。つまり語り手が紡ぎだすストーリーが付加価値を生みだすということ。