武田鉄矢が、心を動かされた一冊を取り上げ、“武田流解釈”をふんだんに交えながら書籍から得た知見や感動を語り下ろす。まるで魚を三枚におろすように、本質を丁寧にさばいていく。

“人間的魅力”とは、自分についてる“付加価値”のこと。

 老いてなお人間的魅力を増すためには、年齢に任せて、ただ年を取るのではなく、自分自身に追加で価値をつけていかないといけない。そんなことを『このオムライスに、付加価値をつけてください』(ポプラ社・柿内尚文著)に学んでいます。

 さて、ひと言で「付加価値をつける」といっても、いろいろな方法があります。

 例えば、人でも物でも何かを売り込む際には、いいところ、長所をアピールして売り込もうとしますよね。長所を他人に分からせるのも当然、付加価値を与えます。

 でも、長所の陰に隠れている短所・欠点にも目を向けてみませんか? 人間として生きていくうえで、我々はポジティブな面ばっかりじゃない。ネガティブな側面も必ず持っている。つまり、長所と短所は裏表にある。

 実は、この“欠点(短所)”というのは何もマイナスばかりじゃない。扱いようによっては、とても大事な付加価値になります。短所は見せ方によっては突然、長所になったりするんです。

 例を挙げてみましょう。たとえば「店舗が狭い」。これは、一見すると短所ですよね。商品を並べるにしても店が狭いというのは品ぞろえという面で非常に不利になる。ところが、ここで一工夫することで短所が長所に180度転換する。

「ウチは厳選した商品のみで勝負しております」

 こう言い換えるだけで、ただの狭い店が“こだわりの専門店”に早変わり。狭いのを逆手に取って、狭いがゆえの付加価値をアピールすることで、マイナスがプラスに転換する。つまり、狭いことが、この店の付加価値になった。

 言葉を言い換えることで、ネガティブをポジティブに変えることもできます。

 たとえば「田舎には何もない」を「田舎には“何もない”がある」と言い換えると、“何もない”ことが田舎の魅力になる。

 古い旅館をただ古い建物と言わずに、「昭和レトロ」なんて括るだけでグンと価値が増す。混んでいるアミューズメントパークの「待ち時間60分」は「ワクワクまで、あと60分」。そう言い換えれば退屈な待ち時間が楽しい時間に変わる。駅から遠い家なら「哲学の道が家まで」。坂道が多い場所に立つ家なら「ジムいらず」と言い換えてみる。

 ちょっと苦し紛れのもあるけど、こうして言い方を少しばかり変えるだけでも付加価値が生まれる。つまり付加価値というのは、その人(その物)を、どの角度から見るかで変わってくるんですね。