■マイナスをプラスに転換 ヒット商品誕生秘話
マイナスをプラスに転換して付加価値を生みだした例には、こんなヒット商品もあります。これは娘から聞いた話ですが、偶然にも、この本の中にも載っていてビックリしました。
そのヒット商品を生みだしたのは都内にある和菓子屋さん。この和菓子屋さんのある場所が、実に縁起の悪い場所なんだ。なんと、そこは忠臣蔵で有名な、あの浅野内匠頭が切腹させられたお屋敷跡。しかもビジネス街の真ん中にあるもんだから、そもそも和菓子を買いに来るようなお客さんも少ない。
この和菓子屋さんの自慢の商品に「最中」がある。味には絶対の自信があるが、場所が悪いせいか、なかなか売れない。
そこで和菓子屋さんは頭を捻って考えた。ビジネス街の真ん中にあって、かつ浅野内匠頭が切腹した縁起の悪い場所というマイナスイメージを、逆に利用できないだろうか……思い切ってつけた名前が「切腹最中」。これが当たった。
ビジネスの世界では何かの手違いでミスしたときには、取引先に詫びを入れに行かなきゃいけないですよね。そのときに持参する手土産に「切腹最中」が、もってこいだった。
「申し訳ございません」と頭を下げられて、「どうぞ、お納めください」なんて切腹最中を出されると、謝られたほうも「まぁまぁ、いいから、いいから」となっちゃう。
こうして和菓子屋さん起死回生の「切腹最中」は、得意先に頭を下げに行かなきゃいけない営業マンから引っ張りだこ。これもマイナスを活かして付加価値をつけた成功例。
こんなふうに付加価値というのは注意深く自分の周囲を見渡して探せば、必ず見つかるものなんですね。
この「切腹最中」は先にお話したナラティブ(物語によって意味や価値を与えること)にもつながります。赤穂の殿様が切腹した場所にある和菓子屋さんが「切腹最中」を売ることで、付加価値ができてナラティブになる。