■相撲は年4場所にして体をケアする時間を!

――力士は過酷ですしね。

貴乃花 相撲は年4場所ぐらいでいいと、私は思うんです。

養老 双葉山の時代も、今より少なかったですね。

貴乃花 年2場所とかでした。あとは体をケアする時間にして、空いた時間は、日本中を巡り、文化交流の時間にするのもいいと思います。

 決まりきった場所へ行く巡業ではなく、学校や神社仏閣で地域の方々と、もっと交流をしたら、親御さんたちも、うちの子を力士にしたいなと思ってくれると思うんですが……。

養老 なるほど。

貴乃花 ただ、それを私一人が主張してもできないんですよ。相撲協会では少数派でしたから。だから、私は辞めたわけですが――。

 男の世界の嫉妬は恐ろしくて、集団で殺しにかかってきます。先生が身を置かれる医療の世界は、いかがでしたか?

養老 僕の先生は医学部長になったんですけど、まさにドラマ『白い巨塔』のような世界だったそうです。先生は、部長になる前まで、「ドラマは嘘っぱちだ!」って言ってたんだけど、なった後に聞くと、「やっぱり本当だった」って(笑)。

貴乃花 ええ!

養老 医学部教授を選ぶ、選挙があるんですけど、科によっては怪文書が来るんですよ。あいつは、実は、こんなやつだって。

貴乃花 先生の本は大人気ですし、そういった権力闘争に巻き込まれたら、嫉妬がすごいでしょうね?

養老 どうですかね(笑)。

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 まだまだ、2人の話は尽きず。次回へ続く!

貴乃花光司(たかのはな・こうじ)
1972年8月12日、東京都生まれ。88年、藤島部屋に入門。92年の初場所で、史上最年少の19歳5か月で幕内初優勝。兄・若乃花と「若貴フィーバー」を巻き起こす。94年11月に第65代横綱に昇進。幕内優勝22回。生涯戦歴は794勝で、「平成の大横綱」と呼ばれた。2018年に日本相撲協会を退職し、現在はテレビ、講演会等、幅広く活躍中。

養老孟司(ようろう・たけし) 
1937年、神奈川県鎌倉市生まれ。東京大学医学部卒業。東京大学名誉教授。専攻は解剖学。2003年出版の『バカの壁』は460万部を超えるベストセラーに。