日本競馬界のレジェンド・武豊が名勝負の舞台裏を明かすコラム。4月25日のGII青葉賞ではゴーイントゥスカイに、10R鎌倉特別ではトクシーカイザーに、翌26日のGIIマイラーズカップではアドマイヤズームに騎乗予定の、彼のここでしか読めない勝負師の哲学に迫ろう。

(以下の内容は2026年4月20日に寄稿されたものです)

 第一声は「嘘でしょ!?」。次に出てきたのは、「マジで!?」という言葉。で、驚きが収まった後に浮かんだのは、3月3日に調教師を勇退されたばかりの国枝栄先生が、ニヤリと笑みを浮かべたドヤ顔です(笑)。

 JRA通算1123勝。アパパネ、アーモンドアイという2頭の三冠牝馬を含むGI勝利数は22、重賞勝利数が70。名伯楽と呼ばれた国枝先生の『引退謝恩会』が開かれたのは、3月2日でした。

 その会で、「今は人生100年時代。残り30年も自分らしく競馬に携わっていきたい」と挨拶された先生に、今後のことを伺うと、“考えていることがあるんだ”とおっしゃっていましたが、まさかの転身です。

 調教助手、調教師に次ぐ第3のホースマン人生として先生が選んだのは、JRAの認可を受けた「ヘルパー」と呼ばれる調教補充員。馬の手入れはもちろん、水やり、寝藁上げ、曳き運動、乗り運動など、直接、馬に触れる現場中の現場です。

 小島茂之厩舎所属の厩務員として仕事始めとなった4月7日は、「疲れた〜」で、続けて「小学1年生みたいな気持ちで、さすがに今朝は早く起きちゃった」と、笑顔だったそうです。

 4月25日は、ゴーイントゥスカイとのコンビでGII青葉賞に参戦する予定ですが、10R鎌倉特別では、国枝先生が担当するトクシーカイザーに騎乗させていただけることになりました。これが先生の厩務員としてのデビュー戦です。

 現級の4歳以上3勝クラスに上がってから4戦3着2回のトクシーカイザーと、彼の綱を引く先生。そして、その馬上にいる僕……。10Rのパドックは大変なことになりそうです(笑)。