■BBQの成否を分ける炭の扱い方

 また、雰囲気を重視して行われがちな“直火”も、環境や安全の面から問題が大きい。

「うちのように芝生の上で行う施設では、足の低いコンロや焚き火をすると、地面が焦げてしまうんです。そうなると、そこから草木が生えてこなくなってしまう。足の低いコンロを使う場合は、防火マットや耐炎シートを敷いてもらうのが理想です」(前出の向山氏)

 見落とされがちなのが、洗い場の使い方である。家庭の台所の感覚で油汚れのついた皿や網をその場で洗う利用者もいるが、施設によっては大きな負担になる。

「キャンプ場やバーベキュー場は、下水設備が十分でないところも多い。洗剤を使った水がそのまま自然に流れれば、環境負荷になる。現地では皿や食器の汚れを軽く拭き取り、家に持ち帰って洗うほうが自然にも優しいんです」(下城氏)

 また、火や後始末だけでなく、衛生面のマナーも見逃せない。楽しいバーベキューを台無しにする原因として、意外に怖いのが食中毒リスクだ。

「生肉をつかんだトングと、焼けた肉を取るトングは必ず分けてください。せっかくしっかり焼いても、最後に生肉用の器具で触れたら台無しです。生肉用のトングをそのまま使い回すのは、食中毒のリスクを高める行為でもあります。楽しいバーベキューを台無しにしかねませんからね」(下城氏)

 バーベキューは、焼いて食べて終わりではない。片づけまで含めて成立するレジャーであり、その意識を持つことがトラブル防止につながる。

 ルールを守って安全にというのが鉄則。そのうえで、しかもおいしく楽しみたいところだが、そのためにはどうすればいいのか。そんな極意も聞いてみた。

 まず、味を大きく左右するのが炭の置き方。グリル全体に炭を敷き詰めて焼くのが定番と思われがちだが、実はこれでは火加減の調整が難しく、食材を焦がしやすい。

「おすすめは、炭のある場所とない場所を作る“ツーゾーンファイア”ですね。中火ゾーンを基本に肉や野菜を焼いて、厚い肉は炭を高く積んだ強火ゾーンで表面に焼き目をつける。炭のない弱火ゾーンは、保温や、引火したときの退避にも使えます。火力を分けるだけで、BBQはぐっとおいしくなります」(下城氏)

 野菜についても、焼き方一つで驚くほど差が出るという。

「野菜は水分を逃がさないことが大事です。たとえばピーマンは、オリーブオイルを塗って丸ごと焼くとジューシーになる。僕は“小籠包みたい”と言っているんですが、それぐらいうまい。肉も野菜も、焦がすより、ジワッと火を入れる意識が大切なんです」(下城氏)

 ゴールデンウイークは誰もが気持ち良く楽しめる、良いバーベキューにしよう。

下城民夫(しもじょう・たみお)
1960年生まれ。1992年にアウトドア&自然専門クリエイティブプロダクション「アウトドア情報センター」設立。2006年にBBQ文化の発展・啓蒙を目指して「日本バーベキュー協会」を設立。日本のBBQ文化の発展に尽力している。