武田鉄矢が、心を動かされた一冊を取り上げ、“武田流解釈”をふんだんに交えながら書籍から得た知見や感動を語り下ろす。まるで魚を三枚におろすように、本質を丁寧にさばいていく。
『このオムライスに、付加価値をつけてください』(ポプラ社・柿内尚文著)という面白いタイトルのビジネス書を話の友として、「年齢を重ねた自分にいかにして付加価値をつけるのか」について語っております。
皆さんに、この書に載っている問いを紹介しましょう。
『エビフライなどの洋食のお皿についているパセリにはどんな価値があるのか』
おそらくパセリ好きの人以外は、価値のないもの、とお思いでしょう。パセリが苦手な人は「あんなもの苦くて食えたもんじゃない。なんで料理についてくるのか分からない」なんて言う人もいるかもしれません。
また、注文した物はあくまでもエビフライで、パセリがなくてもメニューは成立する。なので、パセリ自体に既存価値(想定内の価値)は認められない。
ところが意外や意外、パセリにはエビフライに“+α”を添える、ちゃんとした役割が秘められております。
それが、「料理に彩りを添える」と同時に「殺菌と消毒、消臭」という実用的な役割も受け持っている。これはお寿司におけるガリと同じ。というわけで、パセリはエビフライというメニューにとって不要価値ではなく、付加価値を与える存在になっている。
このように、パセリは料理に付加価値をつけているにもかかわらず、知らない人が多い。知っていれば“なるほど”と思うけれど、それを知らないと“必要ないもの”となってしまう。
いくら付加価値があっても、そのことを知らないと、あるいはそのことに気づかないと、まったく必要のない、不要価値になってしまう。
著者はパセリを例に挙げて、《もったいなすぎる「伝えない問題」》と読者に語りかけております。
つまり、「付加価値というのはアピールしないとダメなんですよ」ということ。ただ持ってるだけじゃダメなんだ。相手に気づいてもらえなければ、それは宝の持ち腐れ。
皆さんもパセリにならないように、ときには自分の付加価値をさりげなくアピールすることもお忘れなきよう。