■“ネガティブアピール”も付加価値になる

 一方で、あえてマイナス面をアピールすることで世間の注目を集めようという“ネガティブアピール”もあります。

 それが、皆さんも毎日目にしているであろうニュース。テレビをはじめとするメディアが流すニュースには、ネガティブな情報を必要以上に詰め込んだり、あるいはマイナスな情報を過剰に伝えようとする傾向があります。

 例えば一昨年(令和6年)から昨年(令和7年)にかけて、各地で米の買い占めと品薄が発生し、米の価格が全国的に高騰したときにさんざん流されたニュースに「令和の米騒動」があります。

 1918年(大正7年)に起きた米騒動は、米不足が原因で米の安売りを求める全国的な運動に発展し、政府が軍隊を派遣するまでに拡大して、多数の検挙者を出した大騒動でした。

 その大事件と今回の米不足を結びつけて、ことさらニュースを大きく見せようとするのは、私なんざ“品質に偽りあり”と感じてしまいます。

 どうにも情報というのは、ネガティブであったりマイナスであったりするほうが興味を引くようで、そもそも人間というのは悲観主義に反応しやすいそうです。つい悲観主義に乗せられてしまう。だからメディアはニュースを大きく見せるために悲観的なキャッチコピーを用意したがる。これも一つの付加価値のつけ方ではありますが……。

 芸能の世界でもなるほどと思ったことがあります。それが『知りたくないの』という昭和の大ヒット曲。

 もともとは英語の歌でポピュラー音楽の楽曲ですが、当時まだ新進気鋭の若手作詞家だった、なかにし礼さんが、その曲のタイトルを『知りたくないの』にして日本語詞をつけ、菅原洋一さんが歌って大ヒットしました(1965年発表)。

 この曲の一行目の出だしの歌詞がこれ。

♪あなたの過去など 知りたくないの

 若き日のなかにし礼は、こう詞を書いた。