■手取り収入の35%以上が教育費で消えていき…
田中家の年収は夫が額面で850万円ほど。智恵さんがパートで年に100万円ほど稼いでいる。所得税や住民税、社会保険料などが引かれた後に手元に残るのは730万円ほどだ。つまりは手取りの35%以上が教育費に消える計算だ。
「平均的な1か月の支出は、食費5万円、ネット回線やサブスク、水道、光熱費などで5万円、車の維持費やガソリン代などで2万円、衣類や雑貨などで3万円だとして、合計の生活費が15万円。住宅ローンやマンションの修繕積立金などで月々15万円は必要なので、生活費と合わせると支出は月に30万円です。年間にしておよそ360万円。子供の塾代がなければ、そこそこ豊かな暮らしができるはずなのですが……。塾代だけで年間250万円もかかるので、生活に余裕はありません」
年間の生活費と塾代を合計すると610万円。手取りとなる730万円から、その金額を引くと残りは120万円だ。カツカツの生活を余儀なくされ、万が一、智恵さんが急病を患いでもすれば、一気に家計は赤字へと突入しそうな勢いの田中家。将来へと向けて貯金すらしている余裕もない状況だが、それでも知恵さんは頑なに「大学付属の名門校」への入学にこだわる。
「中学受験で大学付属に入学すればその後も安泰な気がして……。就職活動ではやはり大学名が重要とも聞きますし。有名大学を卒業して大手企業に入るのが、不安定なこの時代には大事。確かに塾に通わせた上で、大学付属の一貫校に行かせるのは費用的に厳しいけど、高校がタダで、大学入学まで目途が立つなら頑張ろうかなと思って」
昨年末、実家に帰省した際には、長男が見たいテレビ番組も見せてもらえず、泣きながら塾の課題をする姿を目撃した実母からは「年に200万以上も塾に払って、子供に無理やり勉強させる必要はあるの?」と尋ねられた智恵さん。母の言葉に一瞬、たじろいだ智恵さんだが、子供の将来のためと心を鬼にして我が子に勉強をさせている。
とはいえ、家計は火の車。子供の将来のためとはいえ、家計の限界まで教育費にお金をつぎ込む必要はあるのだろうか。税理士法人アクシア代表社員で、公認会計士・税理士、CFP資格(日本やアメリカなど世界各国・地域で認定されている国際的なファイナンシャル・プランナーの最上位資格)を持つ宮岡秀峰氏が解説する。