■ウニ、抹茶、イチゴ……脳が引き起こす“味の錯覚”

 一見“まずそう”と思いつつも、試してみたら“意外とうまい”――。こんな組み合わせはコーラにピーナッツだけではない。身近な食材同士の組み合わせで、思いがけない“化け味”が生まれる例は他にもある。

 その代表格といえるのが、子供の頃に誰もが試したことのある「プリン×しょうゆ=ウニ」という味の錯覚だ。これについても望月氏に分析してもらったところ、

「第一にプリンの柔らかい食感によるところも大きいと思います。そこに、プリンのまろやかでまったりとした甘みにしょうゆのしょっぱさが加わることで、“ウニっぽいかも?”と感じる。さらにしょうゆには、昆布に多く含まれるグルタミン酸が多いので、それが磯の香りを想起させて、余計にウニっぽさを感じさせるのだと思います」

 塩味や甘み、食感、風味といった要素が合わさることで、脳の中で過去の味の記憶と結びつき、近い味の記憶に引っ張られ、脳が勝手に思い込んでしまう。そんな例は他にもある。

 例えば、「バニラアイス×わさび=抹茶アイス」。

「わさびのツンとした辛みをアイスに加えると、甘さと辛さという違う味が合わさることで、抹茶の苦みのような感じや、少しすっきりした感じの両方が出てきます。それが抹茶の渋みや爽やかさにつながっていく。そうすることで、“これ、抹茶みたい”と脳が認識しやすくなっているのではないでしょうか」

 また、「トマト×はちみつ=イチゴ」も同様だ。

「トマトは酸味が強いですが、フルーツトマトというのがあるように、もともと果物のような甘みも持っています。そのトマトにはちみつをかけることで、甘みを足して酸味を抑えると、まろやかになって、“甘酸っぱい果物”という方向に寄っていくんです。そこで脳がいちごっぽいと感じるのではないかと思います」

 “珍食”は、実は味覚の不思議そのもの。身近な食卓には、まだまだ意外な“味”が眠っているかもしれない。

望月 理恵子(もちづき・りえこ)
健康検定協会理事長、管理栄養士、山野美容芸術短期大学講師、小田原短期大学講師、服部栄養専門学校特別講師、小田原銀座クリニック栄養顧問、日本臨床栄養協会評議員、サプリメント・ビタミンアドバイザーなど、栄養・美容学の分野で活躍。多くの方が健康情報を学ぶための健康検定協会を主宰するとともに、テレビ・雑誌などで根拠ある栄養学を提供・監修をしている。『健康管理する人が必ず知っておきたい栄養学の◯と×』( 誠文堂新光社)、『やせる時間に食べてみた!』(主婦の友社)など著書も多数。