気づけばラーメンは1杯1000円超が当たり前。そんな時代に、都内で爆発的に勢力を広げているのはちゃん系ラーメンだ。
「店名に“○○ちゃん”が付き、どこか昭和っぽい中華そばに、たっぷりのチャーシュー、店によってはライスが無料。それでいて1杯800円台後半から900円台前半が中心と、1000円を切る低価格帯です。そうした分かりやすい強みもあって、ちゃん系はここ数年で都内を中心に一気に広がりました。実際、2022年元日に発足した『ちゃんのれん組合』の加盟店だけでも、26年4月時点で24店舗にまで達しています」(飲食店ジャーナリスト)
東京を中心に年間500杯ものラーメンを食べ歩き、様々なラーメンの情報を世界へ発信するインバウンドラーメンコンサルタントであり、TBSの人気番組『マツコの知らない世界』への出演経験もある藤野弘行氏は、ヒットの理由をこう分析する。
「本来のラーメンらしい満足感をしっかり残しながら、価格はお財布にも優しい1000円以下。これがラーメン店のメイン顧客層である30~40代の金銭感覚ともマッチしている。物価高騰のこの時代にすごくあっているのではないかと思います」
ラーメン業界は群雄割拠。インスタグラムやTikTokといったSNSで注目を集めなければ集客することも難しい。そのため近年では“見栄え”が重視され、1杯の価格も上昇。今では1500円超の店も少なくない。
「SNSの時代になって、泡立つスープや、きれいな盛りつけ、澄んだスープを売りにするラーメン店も増えました。ある種の美しさがラーメンにも求められる中で、ちゃん系はラーメンの原風景ともいえる“素朴で力強い”魅力を打ち出したんです。幅広の麺に、あっさりしながらもうまみのある醤油ベースのスープ、たっぷりのチャーシューという見た目は、どこか福島県喜多方市のご当地ラーメン・喜多方ラーメンを思わせます。そんな懐かしさが中高年世代にはどストライクで、いわば“昭和回帰のネオクラシック”という感じですね」(前同)
流行のラーメンとは相反する見た目をしたちゃん系ラーメンが、他店舗の半分程度の価格で1杯を提供できるのには理由がある。
2022年に発足した互助組織『ちゃんのれん組合』の存在だ。
「組合内で原材料を共同購入することで仕入れコストを抑え、技術やオペレーションも共有する。味と価格の均一化が進み、新規参入も進みやすい。高コスパを維持しやすい仕組みが最初からあるのです」(同)