■運転に必要な“4つの能力”
「1点目は“視野”。多くの人は免許更新時の視力検査で0.7をクリアしていれば問題ないと考えがちです。しかし、実際は高齢者特有の落とし穴がある。それが緑内障をはじめとする視野の問題なんですね」
年齢を重ねるとともに増える緑内障は、自覚賞状がなく進行し、視野はどんどん欠けていく。しかし人間の脳というのは非常に優秀で、欠けている部分を勝手に補完してしまうのだ。
「信号無視や横断歩道の歩行者を轢いてしまったりするのも、緑内障により実際は見えていないのに“見えている”と思い込んでいる可能性があります」(青木氏=以下同)
2点目として挙げるのが“体力”。その代表値として“握力測定”が有効だと青木氏は語る。実際の運転ではそこまで手の力が必要とされる局面はないものの、握力は反射神経や運転時の操作などにも密接に関わってくる。その人の健康状態のバロメーターになっているというわけだ。
「3つ目は“リスク判断”。車の運転は典型的なマルチタスクです。複数の情報を同時に処理しながら、状況に応じて瞬時に判断を切り替える。この能力が落ちると、予期せぬ事態に対応できず、思考がフリーズしてしまうリスクが高まります」
最後に4点目として“認知”の能力も問われる。
「運転に必要な“注意力”や“判断の速さ”を確認することは、事故を防ぐためにも重要になってきますからね。したがって情報を順番に処理する能力をチェックしていきます」
これらの4項目は、青木氏がトヨタと共同開発した運転計測システム「ドライビング・ヘルス」で計測することができる。これは運転免許センターや警察ではなく、トヨタの販売店などに設置されているものだ。
「実はすでにトヨタ以外のメーカーさんからもお声かけいただいていますし、今年後半からはタクシーやバスなど職業ドライバーの方に向けて同様のシステムが導入されていることも決まっています。最終的には高齢ドライバーの方すべてに受けていただくのが理想ですね」