■ラーメン店の出店が増える理由
味に加えて、韓国の食材事情もラーメン店の開店を後押ししているのだという。
「現地で会うことのできた日本人シェフによると、韓国では鶏ガラなどの材料が比較的安く手に入り、日本の3分の1ほどで購入できるそうです。こうした食材事情もラーメン店の開店が増える理由にありそうです」(前出の藤野氏)
それでも現地で売られるラーメンの価格は1杯1300円~1700円ほど。現地の屋台で食事をすると飲み物も含めて一食1000円ほどで済むというから、ファストフードと呼ぶには少々高めの価格設定だ。一方で、店側からすると原材料費を抑えた上で、日本のラーメン店と同価格帯で販売できるのだから利益を確保しやすい業態ともいえるだろう。つまり、日本式ラーメンは韓国国内で飲食店を運営する経営者にとって魅力的な商材というわけだ。
また、現在韓国ではYouTubeやTikTokといったSNS上でラーメンを語り、発信するファン文化が急速に広がっている。前出の藤野氏によれば「ラーメン文化は、“食べ手、作り手、語り手”の循環で育つ」のだという。
「韓国では新店ができると、ラーメン好きなインフルエンサーがすぐに食べに行き、SNSで情報を広める。店が増えているだけでなく、食べる側、語る側の熱量がブームを押し上げている。そこは日本のラーメン文化とかなり似ています」(前同)
藤野氏は、このブームが今後も続くと見る。
「3月にもソウルへ行ったのですが、どの店もその日の目標杯数をきっちり売り切っていました。早朝から行列ができる熱気を見ると、正直、東京が負けるんじゃないかと危機感を覚えるほどの勢いがある。韓国のラーメンがここから1年、2年でどう進化していくのか、かなり楽しみですね」
ソウルのラーメン屋から立ち上る湯気は、ラーメン新時代の幕開けを告げる狼煙なのかもしれない。
【後編】「人気店」を視察に日本へ、「自家製麺」は当たり前…「9割が男性客」韓国ラーメン市場成長の理由をマツコ番組出演ラーメン専門家が解説では、進化する韓国ラーメン店の最新事情や、国内で1200店舗のラーメン店が出店しているにもかかわらず、さらに韓国国内でラーメン市場が成長しそうな理由を藤野氏が解説する。《【後編】はこちらから》
藤野弘行(ふじの・ひろゆき)
1978年生まれ。日本のラーメン文化を世界へ発信し、訪日外国人向けに特化したラーメンの講座作り、コンシェルジュ、店舗アテンドまでを手がける、日本唯一のインバウンドラーメンコンサルタント。麺文化の深化と発展を担う全国コミュニティ「東京麺会」「大阪麺会」代表。マツコの知らない世界(TBS系)にラーメン専門家として二度出演のほか、テレビ番番組の監修・出演、執筆活動など、多方面で活動。