■期待される“韓国らしさ”

 そのために求められるのは“韓国でしか食べられない一杯”の誕生である。

 これまでの韓国ラーメンは、日本の名店の味を高い精度で再現する段階だった。だが、藤野氏が期待するのは、その先にある“韓国らしさ”の誕生だ。

「韓国のスープは、食材を一度に煮込んで濃度やうま味を重ねていく発想が強い。一方、日本のラーメンは、出汁、タレ、香味油を三段階に分けて組み立て、最後に一杯として完成させるんです。この作り方が韓国の若い人たちに受け入れられているということは、今後、韓国でもスープの考え方が再定義される可能性があるということ。そこに韓国ならではの食材や味覚が加われば、単なる日本式の再現ではなく、韓国らしいラーメンが生まれてくるはずです」

 日本のラーメンを学びながら、韓国の食文化をどう一杯のラーメンに落とし込むのか。そこに次なるブームの芽があると藤野氏は見る。

「韓国ならではの新しいラーメンが生まれたら、観光の目玉にもなるかもしれない。韓国でしか食べられないラーメンが出てきたときが、本当の意味でラーメン文化が韓国で根付くときなんだと思います」

 今はまだ、日本の味を追いかけるソウルのラーメン業界――。韓国ならではの食材や感性を生かした一杯には更なるラーメンの可能性が詰まっているかもしれない。

【前編】「朝7時半には行列」ソウルだけで1200店舗「日本式ラーメン」が韓国で一大ブーム、背景を『マツコの知らない世界』出演のラーメン専門家が解説では、ソウルで日本式ラーメンが話題を集めている理由や、韓国独自の飲食店での行列対策などを詳報している。《【前編】はこちらから》

藤野弘行(ふじの・ひろゆき)
1978年生まれ。日本のラーメン文化を世界へ発信し、訪日外国人向けに特化したラーメンの講座作り、コンシェルジュ、店舗アテンドまでを手がける、日本唯一のインバウンドラーメンコンサルタント。麺文化の深化と発展を担う全国コミュニティ「東京麺会」「大阪麺会」代表。マツコの知らない世界(TBS系)にラーメン専門家として二度出演のほか、テレビ番番組の監修・出演、執筆活動など、多方面で活動。