■中川さんが選んだ投資信託とは

 そんな中川さんが今年の初めに投資対象に選んだのが「S&P500」。NVIDIAやアップルなど米国の代表的な企業500社で構成された投資信託だ。

 新NISA制度が始まった24年1月から26年1月の段階でこの投資信託は1.5倍以上値上がりしている。過去3年間のチャートを見ても多少の乱高下はあるもののほぼ右肩上がりの成長を遂げている。

「乗るしかない、このビックウェーブに」

 そう思った中川さんは、成長投資枠の限度額となる240万円を年初一括でS&P500に全額投資。

 しかし、この判断が後の悲劇のきっかけとなる。

 当初は順調に資産が増えていた中川さんの証券口座だが、2月末に米国によるイランへの軍事攻撃が始まると突如、資産は激減。3月末には購入金額から資産が13万円ほど目減りしたという。

「こんなに急落するなんて聞いてないよ……。怖すぎる」

 連日、新聞の一面でも石油価格の乱高下が報じられているのを見て、1970年代に起きたオイルショックが頭をよぎり、世界経済が不安定になるのではと不安になった中川さん。我慢の限界に達してしまい保有していた投資信託をこのタイミングですべて売却したという。

 しかし、それから2週間、米国とイランが戦闘終結へと向けての話し合いを始めたことで株価は急上昇。中川さんが保有していたS&P500も最高値を更新。この株価が乱高下する状況にSNS上では《下落に耐えれず売っちゃったよーって人?》などと冗談交じりの投稿をする人も現れたが、中川さんにとってこれらの投稿は冗談では済まされない。中川さんがこう嘆く。

「なんで、あんなものに手を出したのか。悔しくって夜も眠れません」

 多くの同級生が新NISA制度を活用し、順調に資産を伸ばす中、なぜ中川さんは損をしてしまったのか。税理士法人アクシア代表社員で、公認会計士・税理士、CFP資格(日本やアメリカなど世界各国・地域で認定されている国際的なファイナンシャル・プランナーの最上位資格)を持つ宮岡秀峰氏が解説する。