■第1話に隠された重要シーン

 そうだとすれば、逆に茂木(山中)は裏切られたのかもしれない。事実、茂木にとって、田鎖夫婦が死んだことは寝耳に水だった可能性が高い。第1話で放送されたシーンでは、31年前の茂木は中華料理店のテレビで事件のニュースを見る。「先月の26日に起きた事件」として流れたニュースに、茂木は驚きの表情を隠せない。つまり、茂木は田鎖夫婦が死亡したことを事件の1か月後まで知らなかったのではないか。

 茂木は何を知り、何を知らないのか。田鎖兄弟から津田(飯尾)が見つかったことを知ると、茂木は津田が搬送された病院に姿を現した。この行動にX上では、

《もっちゃん一人で病院来たのなんで?》
《病院に来たもっちゃん、なんか様子おかしいよね》

 という声が上がる。病院で稔(染谷)と鉢合わせた茂木は、「心配だったから」来たと言うが、どこか挙動不審な様子。田鎖兄弟が事件の真相を聞き出したかったように、茂木も何かワケがあって津田に接触を試みたのだろう。

 だが、奇跡的な回復が見込まれた津田は死亡する。31年前の真相が闇に葬られたかと思われたが、津田の所持品から電話番号が書かれたメモが見つかる。田鎖兄弟がその番号にかけると、聞き馴染みのある声が返ってくるーー。

 電話に出たのは、父・朔太郎(和田)が勤めた辛島金属工場の工場長・貞夫(長江)の妻・ふみ(仙道)だった。かつて山岳事故によって車椅子生活を余儀なくされたふみだったが、現在のふみは颯爽と歩く。山岳写真家として個展を開き、どこかリッチにさえ見えるのだ。

《なんで辛島の奥さん歩けてるの?》
《手術しないと足は難しいはずだったのに、どうやってその金を用意したんだ》
《津田が電話番号持っていたってことは、真犯人はふみだろ》

 このように、ふみの現在を怪しむ視聴者が相次ぎ、真犯人候補として名乗りを上げた。この展開により、ふみも朔太郎や茂木と同じく悪事に関わっていた可能性が出てきた。少なくとも、何らかの事情は知っていたと考えるのが自然だろう。ふみは彼らを裏切り、田鎖夫婦を殺害したのか。

 とはいえ、31年前のふみは車椅子姿だ。田鎖家から走り去る犯人をふみだと思うのは無理がある。ただ、ある視聴者は《ふみさん、足が悪いフリしてたのかな》と指摘する。もしくは、誰か別の人間を使って犯行に及んだのか。どちらにせよ、ふみが事件の重要参考人であることは間違いない。

 第4話の公式サイトの予告画像では、田鎖兄弟がふみのもとを訪れる。ふみは、2人を前に何を語るのか。また、津田(飯尾)の所持品には電話番号の他にも鍵があった。それは一体何の鍵なのか。いまだ断片的にしか明かされていない31年前の真相が、第4話でついに輪郭を帯びることになりそうだ。

ドラマライター・ジュン
幼少期から映画を観ることが好きで、物語そのものの面白さはもちろん、「この作品はどうやって作られているのか」という裏側にも強く惹かれてきた。過去にはドラマや映画のロケーションコーディネーターとして現場に携わり、ロケ地選びや撮影準備などを通して、作品作りのリアルを肌で学んだ。そうした経験を重ねるなかで、俳優の芝居、演出、脚本、美術といったさまざまな要素が積み重なり、ひとつの映像作品として立ち上がっていく瞬間に、ますます心を奪われるように。いまは旬のドラマや映画を欠かさずチェックしつつ、張り巡らされた伏線や演出意図を読み解きながら、物語の核心やその先の展開に思いを巡らせる時間を何より楽しみにしている。