■落語家の魅力

 さて、ここまで“老いと付加価値”というテーマで語ってまいりましたが、年を取って魅力がアップする人、つまり付加価値を増していく人は誰だろうと考えてみたときに、真っ先に思い浮かべたのが落語家です。

 皆さんご存じの人気番組『笑点』(日本テレビ系)。大喜利で座布団の上に並んで、お題に答える落語家さんたちをジ~ッと観察していて思いました。言葉は悪いですが、落語家って、じじいになればなるほど面白いよね、って。若手が言うと、つまんないことでも、じいさんが言うと面白く感じる。『笑点』って、その魅力なんですよね。

 高齢になればなるほど話芸が面白くなるのは、なぜだろうか?

 あんまり深いこと考えてなさそうな、あの気楽さ。深刻なじいさんは近寄れないけど、しょうもない冗談を言ってるじいさんというのは、なんともはや周りの人間を明るくさせるんだ。

 その典型が初代の林家三平。個人的な感想ですが、若い頃のあの人の早口のギャグだらけのショートコントみたいな話芸は好きじゃなかった。ところが、年を取ると面白いんだ。

 三平さんが脳溢血で倒れたあと、リハビリを経て高座に復帰したときのステージが面白いったら、ありゃしない。

 ご本人にとっては口も回わらないし、イラついたステージだったろうけど、あんなに面白い三平は初めて見た。つまんないジョークを言うんだけど、そのつまんなさが面白いんだ。