■重要なのは職場全体での“意識共有”

 この問題については石黒氏も、「男性・女性問わず、においの問題はデリケート。本人の自覚の有無にかかわらず、指摘すると傷つけてしまう可能性が高いものです。また、日頃からの信頼関係がないと、伝える側も言いにくいでしょう」と“難しさ”を挙げる。

 その上で、「本人を傷つけないために無難なのは、個人に伝える前に職場全体に周知し、全員に注意喚起することです」として具体策も列挙。手段の1つとして、「衛生委員会」(50人以上の労働者を使用する事業場に設置が義務付けられている、月1回以上で労働者の健康の保持・増進などを講じる組織)でにおい対策を取り上げることを薦めた。

「5~8月の衛生委員会のテーマにした上で、朝礼や情報連絡メールで共有する、歯磨きやタバコ・体臭の確認を含む身だしなみチェックリストを作るなどが有効です。この上で、上司から“暑い時期は誰でも汗をかくが、においに気を付けるのもマナーのひとつ。消臭剤を使用する、外出等で汗をかいたらロッカーで着替えるなどして爽やかに過ごしましょう”と伝え、率先して行動すれば、従業員もにおい対策に取り組みやすいでしょう。

 嗅覚は五感の中で唯一脳に直接届くので不快感が記憶に残りやすいと言われる反面、感じ方に個人差が出るもの。このことからも、においの問題についてはまずは会社の衛生管理に組み込むとよいでしょう」(石黒氏、以下同)

 そして、X上にあった“女性には言いづらい”という意見に対しては、「このように、職場全体の問題として意識共有があった上で」と前提を置いた上で、個人間で女性に対応する際の声のかけ方も提案してくれた。

「女性には特に言いにくいのは、すでに身だしなみや他者目線を意識できている方が多いからではないでしょうか。言いにくいことを指摘する際の原則は、1対1の対面で・率直に・丁寧に、です。まずは“私は○○を使ってみて、良かった”“私は〇〇を意識しているけれど、何か気を付けていることはある?”などの情報共有から始めるのも一つです。気軽な情報交換から当事者意識が高まり、自然ににおい対策へと繋がり解決することがあります。確かな信頼関係があり、すぐに伝えられるという場合にも、人前や飲みの席で言うのはNGです」

「面と向かって言いづらい」という人もいるかもしれないが、文字にして伝えるのもNGだ。

「メールやLINEは伝わりにくく相手の反応をうかがえないので避けます。“あなたのために”の表現も、かえって自分本位と聞こえるため、におい問題に限らずお勧めしません。

 相手を尊重するには、落ち着いたタイミングで、他の人の目がないところで“私は〇〇と感じるのだけど、〇〇してもらえる?”などと、自分の気持ちを伝え、依頼する表現を使うと良いでしょう。また、季節や健康、生活習慣/環境などを軸に、“私も自分のにおいが気になる時はあるんだけど……”などと寄り添うことで、感情的にならずに対話を進められます」

 しかし、それでも“どうしても言いづらい”というケースもあるだろう。こうした場合は、いったいどうすればいいのだろうか。