■産業医や保健指導員を頼るパターンも
「人間関係への影響から個人で伝えられない、職場全体に注意喚起されたが肝心の当人に変化が見られない、“においのきつい〇〇さん”と陰でレッテルを貼られてしまっている、業務への支障が大きい(においが原因で頭痛がするなど)、などの場合は、上司や人事担当者・産業医・保健指導員を頼ることができます。
企業には労働契約法の『職場環境配慮義務』で《労働者に対して快適な職場環境を提供するよう配慮する》と定められているため、においが原因で不快感がつのり、職場の生産性の低下や従業員の離脱などの影響が出ているのであれば、改善が必要です。かつ実際ににおいの背景には健康問題やストレス、生活習慣も考えられるからです。産業医や保健指導員は健康管理や保健指導のプロ。健康診断やストレスチェックの結果面談などと合わせて自然に伝えてもらえます」
また、自身が上司・人事担当者だった場合、伝えるときの原則はというと、
「個室を使い、1対1で伝えることです。においの問題はセンシティブなので、面談の名目は他の打ち合わせなどとし、健康面や会社生活への配慮を切り口に“最近疲れていませんか。ストレスがあると体調や体臭も変わるというし、少し心配しています”などソフトな表現を意識しましょう。人前で言うことや“職場でこんな声があがっていた”と言うのは避けてください。強い羞恥心に繋がったり、“誰が言っていたんだろう”と不信感を持たれてしまったりする可能性があります。
高温多湿な日本の夏では、制汗・デオドラント対策自体は身近な話題です。また、においの原因は、実は洗濯物の生乾き臭や洗濯槽の汚れだったということもあります。本人の心や尊厳を守りながら、健康や会社生活への気遣いをベースに対話を進めると受け入れられやすいでしょう」
年齢・性別問わず暑くなってくる季節だからこそ、においケアには細心の注意を払いたい。
石黒真実(いしぐろ・まみ)
NPO 法人日本サービスマナー協会認定マナー講師。一般企業の営業職を経て、総務課で人事・労働衛生に従事した。2017年に講師活動を始め、ビジネスマナー研修や階層別研修など、年間平均 100 研修に登壇。2026年5月までに延べ約7800 人を担当している。また、並行して日英バイリンガルでの司会業に従事し、国際会議やスポーツイベントにも携わっている。