武田鉄矢が、心を動かされた一冊を取り上げ、“武田流解釈”をふんだんに交えながら書籍から得た知見や感動を語り下ろす。まるで魚を三枚におろすように、本質を丁寧にさばいていく。
面白い本を見つけました!
『世界はなぜ日本カルチャーに熱狂するのか』(NHKスペシャル「新ジャポニズム」制作班・NHK出版)。
本書はNHKスペシャルとして2025年1月から3月にかけて放送された番組『新ジャポニズム』(全4集)の内容に、さらに番組では伝えきれなかった情報や新たな解説文を付け加えてまとめられた“日本カルチャー”を巡る最先端かつ奥深い内容が紹介されています。
今回は本書を話のお供として、特に第1集にある「マンガ(MANGA)」について語っていこうと思います。例によって武田流の解釈をたっぷり効かせた武田節全開でお話しさせていただきますので、ご容赦を。
まずは身近なところから話を始めさせていただきます。
小田急線の豪徳寺という駅沿いに街が広がっております。いかにも下町といった昭和レトロそのまんまの街並みで、商店街の雰囲気がなんだか映画『ALWAYS 三丁目の夕日』っぽくて、すごくいい場所です。
そんな昭和レトロなムードが漂う街に最近、すごいんですわ、インバウンドの波が押し寄せて。
“三丁目の夕日”とは似ても似つかないヨーロッパ系をはじめとする異国の人たちがぎっしり歩いてる。下町で見る、その光景が私の目にはなんとも異様に映ったんですが、ずらずらと連なって歩いていく彼らの姿はまるで“聖地巡礼”のよう。
彼らはみんな、てくてく歩きながら、ある場所を目指してる。どこを目指しているかというと駅名にもある豪徳寺というお寺。この豪徳寺というお寺の境内には猫を祀っている小さな祠がある。これが、かの有名な“招き猫”のたまちゃん。
たまちゃんの霊力にあやかりたいと、1年中たくさんの参詣者が訪れて招き猫の人形を買っていきますが、この人形は願いが成就したら感謝を込めて、この場所に奉納するのが慣わしだそう。参拝客たちが奉納した、つまり返却された招き猫の人形が祠の周りにいっぱい並んでいる。大中小さまざまな大きさの右手を上げた白い猫の人形が、ずらっと並ぶさまはインスタ映えする。その光景を目当てに外国からお客さんが、どんどんやって来るんですね。サングラスかけたメリーさんとかトムさんがやって来ては、お寺なのに柏手は打つわ、写真はバンバン撮るわで大にぎわい。小さな祠の前で外国人観光客が、願い事を聞いてもらうために列をなして順番を待っている。
彼らのように日本に惹かれてやって来るインバウンドの人たちの情熱を見ていると、私は思うんですよ。
「彼らはこの日本という国で、いったい何を探してるんだろう」と。
これが今回の題材として、本書を手に取らせた理由の一つ。
そして、もう一つ、私が高校時代から、ずっと疑問に思っていて解けなかった謎があります。