■住宅手当は5万円が支給されるが…

 山中さんが話す。

「社会人1年目なので会社の近くに住もうと思い、本社がある大手町まで乗り換えなしの20分ほどで通勤できる文京区内にマンションを借りたんです」

 現在、23区内は家賃が上昇中。不動産情報サイトのアットホームによれば、26年3月の東京の単身者向け賃貸マンション(30平方メートル以下)の平均価格は1年前よりも1万2000円以上高い、11万1922円。山中さんが暮らす文京区は都心エリアだ。そのため、家賃は他のエリアと比較すると高額。現に駅から徒歩3分の位置にある築6年の山中さんが暮らすマンションも1Kの部屋が管理費込みで月に14万円で貸し出されている。

 大手企業ということもあり5万円の住宅手当が給料や残業代とは別に支払われているという山中さん。しかし、月に5万円が支払われる住宅手当は課税対象。住宅手当と残業代を合わせれば月に額面で40万円前後の給料を受け取っているという。そこから所得税や社会保険料が差し引かれた手取り金額は月に30万円ほどだ。家賃を支払うと手元に残るお金は毎月16万円。山中さんが嘆く。

「光熱費や通信費、食費、それに奨学金の返済を含めると毎月の支出は収入と同じくらい。これでは何のために有名大学を卒業して大手企業に入社したのかと感じてしまいますね……。これでは貯金もできません」

 息子のひと言で「東京の現実」を思い知ることになった現在、50代の山中さんの両親。有名企業に入社すれば、一生安泰という時代は終わったことを実感する。

 新入社員の初任給は上がっているものの、賃貸物件の家賃上昇などが影響し、生活にかかるお金が増えた首都・東京。そこで働く若者はどのように生活すれば良いのか。税理士法人アクシア代表社員で、公認会計士・税理士、CFP資格(日本やアメリカなど世界各国・地域で認定されている国際的なファイナンシャル・プランナーの最上位資格)を持つ宮岡秀峰氏が解説する。