■賃貸物件に住む際のポイントをCFPが解説
――山中さんが受け取るお給料の内、半分ほどが家賃として消えています。一方で東京の家賃は高騰しているため職場の近くに住む以上、家賃を減らすことはなかなか難しいと思われます。毎月の支出を抑えるにはどのような点に気を付ければよいのでしょうか。
今回の最大の問題は、「収入」ではなく「家計構造」にあります。
とくに住居費が手取りの半分近くを占めている状態は、家計としては明らかに“危険水準”です。
一般的に住居費は手取りの25〜30%が目安とされますが、それを大きく超えると、 生活の自由度だけでなく、将来の貯蓄余力までも一気に奪われてしまいます。
支出の見直しでは、「何を削るか」よりも「どこを動かせば効くか」という視点が重要です。 具体的には、通信費・サブスク・保険などの固定費は見直し効果が大きく、優先順位の高い領域です。
一方で、食費などを削りすぎると生活の質が崩れ、結果的に長続きしません。
むしろ大切なのは、生活費・貯蓄・自己投資の配分をあらかじめ決め、 「先に貯める」仕組みを作ることです。
――FPの方が賃貸物件を借りる際に気をつけているポイントや物件選びのコツはありますか。
物件選びで重要なのは、「家賃」ではなく「総コスト」と「持続可能性」です。
家賃、管理費、更新料、通勤交通費――すべてを含めた総額で判断しないと、 “安く見えて実は高い物件”を選んでしまうリスクがあります。
また、「今払えるか」ではなく、「数年後も無理なく払えるか」という視点も不可欠です。 収入は変動しますが、家賃は原則として固定されるためです。
若手会社員の物件選びで重視すべきなのは、駅距離や築年数よりも、通勤コストと生活維持コストのバランスです。たとえば“会社まで20分”にこだわると、都心寄りの高い家賃を払い続けることになります。ところが“乗車時間30〜40分、徒歩10分前後”まで許容すると、家賃の選択肢はかなり広がります。
東京で長く働く前提なら、毎月1万円家賃を下げる効果は大きく、年間12万円、2年で24万円の差になります。若いうちは「会社に近いこと」より「毎月無理なく続くこと」を優先した方が、結果として仕事も生活も安定しやすいです。
【記事後編】では家賃上昇中の東京で「激安物件を見つける方法」と「資産形成のポイント」をCFPの宮岡秀峰氏が解説する。《【後編】はこちらから》
宮岡秀峰(みやおか・しゅうほう)
公認会計士、税理士、行政書士、CFP資格(日本やアメリカなど世界各国・地域で認定されている国際的なファイナンシャル・プランナーの最上位資格)。税理士法人アクシア代表社員、アクシア公認会計士事務所代表。公認会計士として会計・財務の視点から中小企業支援に取り組むほか、相続・事業承継分野にも幅広く携わる。講演や税務相談の実績も豊富で、会計・税務分野の書籍共著、雑誌寄稿も行なっている。
税理士法人アクシア 公式HP:https://axia.or.jp/