■“開示請求”を「拒否」すれば何もない 共有ファイル使用者が語るリアル

 開示請求の書類が届いても“拒否”と記入して返せば、プロバイダ側は「拒否されました」と請求者に返すしかないとA氏は語り、こう続ける。

「そうすると請求者、今回の場合ビデオメーカー側は、プロバイダ相手に“開示を認めろ”と裁判を起こし、開示を認める判決が出たらようやくユーザー側にアクションを起こす……いくら取れるかも分からないユーザー相手にそこまでの労力も費用もかけられないから、開示拒否で提出すればそれ以上は何もないというのがスレッド上の意見でした」

 開示がされないと踏んだA氏はその後もファイル共有ソフトでのダウンロードを継続したという。今も度々開示請求が届いているというが、全て拒否で返送しているそうだ。

 こうした場合に、メーカー側がプロバイダを訴えてまで開示を迫るケースはあるのだろうか。同件に詳しいジャーナリストが語る。

「結論から言うと“メーカーによる”とはなりますが、メーカーが本気なら、ユーザーの情報を開示するようプロバイダを訴えるケースは少なくありません。例えば、2024年7月19日の東京地裁では、ファイル共有ソフトを利用したユーザーの開示をめぐり、漫画の著作権者が、代理人弁護士を通じてソフトバンク株式会社を訴え、開示を認める判決が出ています。同年9月6日の東京地裁でも、成人向け動画メーカーがビッグローブ株式会社を相手取り、開示を認める判決を勝ち得ました」

 前出のA氏は今後、ファイル共有ソフトの利用をやめるそうだ。

「始めたのは明確な悪意じゃなく出来心ですし、大量の動画データがあっても、どうせ後で見るのはごくごく一部。いけないことというのは分かっていますし、やめるに越したことはないので、もう足を洗おうとは思ってます」

 ファイル共有ソフトをめぐっては、00年代にもWinnyが社会問題と化していたが、時代が変わっても未だに根本的な解決には至っていないようだ。