武田鉄矢が、心を動かされた一冊を取り上げ、“武田流解釈”をふんだんに交えながら書籍から得た知見や感動を語り下ろす。まるで魚を三枚におろすように、本質を丁寧にさばいていく。
今回のテーマはずばり“ジャポニズム”。ジャポニズムとは、19世紀後半以降のヨーロッパ美術を中心に、日本美術・工芸・デザインが与えた影響や、日本趣味の流行全般を指す概念ですが、今、世界では“新ジャポニズム”が巻き起こっています。
日本の生んだ日本独自のカルチャーが、いかに世界に影響を与えているのか。話の題材として取り上げさせていただいているのが『世界はなぜ日本カルチャーに熱狂するのか』(NHKスペシャル「新ジャポニズム」制作班・NHK出版)という本。
まさにマンガは新ジャポニズムの象徴的な存在にして、日本が生んだ独自のカルチャー(サブカルチャー)。今や世界中にマンガに夢中な人たちが大勢いる。いかにマンガが世界中の人たちを夢中にさせているのか、本書で紹介されている例を、いくつか紹介しましょう。
ウクライナの首都・キーウで2024年9月にコンサートが行われた。1500人余りの観衆を前に演奏されたのは、日本のアニメソング。『残酷な天使のテーゼ』(新世紀エヴァンゲリオン)、『疾風伝』(NARUTO-ナルト-)、『心臓を捧げよ!』(進撃の巨人)といった曲がオーケストラによって演奏されると、戦時下にあるウクライナの人たちは歓声を上げて拍手喝采を送り、中には涙を流す人さえいた。
そのコンサートの会場にいたエヴァさんという12歳のお嬢さんは『新世紀エヴァンゲリオン』が大好きで、“惣流・アスカ・ラングレー”というキャラが推しキャラ。戦時下のウクライナはロシア軍の攻撃が始まると地下室のシェルターへ逃げ込まないといけない。狭くて暗い地下室で彼女はダウンロードしたエヴァンゲリオンのアニメを見ることでおびえがなくなる。エヴァンゲリオンの世界とウクライナの現状がピタッと重なるところに彼女は勇気を得ている。