■金利上昇局面で繰り上げ返済をするべきなのか? 【CFPが解説】
――今後、政策金利の上昇が見込まれています。関連する形で住宅ローンの金利も上昇します。月々の住宅ローンの支払額を引き下げるためにも余剰資金がある場合は繰り上げ返済を行ばった方がいいのでしょうか。また、繰り上げ返済は必ずしも有効とは限らないのでしょうか。
繰り上げ返済そのものは有効です。繰り上げ返済には総返済額を減らす効果と完済時期を早める効果があり、毎月返済額はそのままで返済期間を短くする「期間短縮型」と、返済期間はそのままで毎月返済額を下げる「返済額軽減型」があります。
有効なケースは、生活防衛資金が十分にあり、教育費などの近い将来の支出を別枠で確保できていて、なお余るお金がある場合です。加えて、残存期間が長く、今後も変動金利上昇リスクを強く意識する局面では、元本を減らす意義は大きいといえます。
逆に有効でないのは、数年以内に使い道が決まっている資金を崩す場合です。
教育費、生活防衛資金、車の買い替え、親の介護資金などを削ってまで行う繰り上げ返済は、返済は軽くなっても、その後に別の借入れや資金不足を招きやすいからです。なお、住宅ローン控除を受けている期間中は、繰り上げ返済で年末残高が減れば控除額も小さくなりますし、返済期間が10年未満になると要件を満たさなくなる点にも注意が必要です。
【記事後編】では、住宅ローン金利上昇局面で返済時に気をつけるべきポイントや不動産価格が高騰し、マンション購入により含み益が出ているからと安心できない理由をCFP宮岡秀峰氏が解説する。《【後編】はこちらから》
宮岡秀峰(みやおか・しゅうほう)
公認会計士、税理士、行政書士、CFP資格(日本やアメリカなど世界各国・地域で認定されている国際的なファイナンシャル・プランナーの最上位資格)。税理士法人アクシア代表社員、アクシア公認会計士事務所代表。公認会計士として会計・財務の視点から中小企業支援に取り組むほか、相続・事業承継分野にも幅広く携わる。講演や税務相談の実績も豊富で、会計・税務分野の書籍共著、雑誌寄稿も行なっている。
税理士法人アクシア 公式HP:https://axia.or.jp/