■今回のような企画は「大昔からあるし、むしろ古い……」

 また、鎮目氏は「番組は、短ければ短いほど手間がかかるんですよ」と切り出し、かつての『あのちゃんねる』の放送枠「バラバラ大作戦」の現場環境についても解説してくれた。

「極端に言えば、特にバラエティは一度準備をすれば、1時間番組だろうと10分番組だろうと、ほとんど手間もお金も変わらない。つまり、費用対効果の面で言うと、短い尺の番組を多くやる方が人手もカネもかかって面倒なんです。

『バラバラ大作戦』枠は、いろいろな企画を試せるのでしょうし、チャレンジングで可能性のある枠だとは思います。もっとも、モノになる企画が少ないのも現状ではありますが……ただやはり、人が足りていないという事情からチェックがおろそかになっても不思議ではないですね」

 さらに鎮目氏は元テレ朝のプロデューサーとして、同局のバラエティ番組の現状をこう話す

「テレビ朝日のバラエティ番組は、高年齢層向けなところがあって、新しいヒット企画が少ないところがあります。そこを改善したくて、若い人にも面白いと言ってもらえるような、斬新なバラエティを作りたくて試行錯誤をしているのでしょう。

 ですが――今回がそうですが、明らかに若者にウケない番組づくりをしています。“令和の時代にウケるバラエティ”を作るノウハウが他局に比べて欠けてる感じがして、悲しいですね……。人の弱みを笑うような番組ではなくて、もっと若い人に心の底から素直に面白いと思ってもらえるような、腹から笑える番組をやって欲しいところです」

『あのちゃんねる』のスタッフは若い人材が多く、番組を立ち上げたディレクターも30代。「バラバラ大作戦」時代から変わらず若い感性で作られているはずだが、それでもこうなってしまった背景を、鎮目氏はこう分析する。

「若い人は発想が柔軟ではあるのですが、面白くするにはどうすればいいのかとか、踏み越えちゃいけないラインとか、逆につまらなくなる境目とか――そういったところを、ベテランが側にいてしっかりサポートできているのかと……。

 あと、枠のコンセプトがそうですが、配信のABEMAに引っ張られている感じがします。“地上波っぽくない=ABEMAのような番組をやればいい”みたいに容易に考えてる節があるというか……。だけど、地上波とABEMAでは内容を変えなきゃいけないですから、そこは勘違いしてはいけないですよね。

 せっかくなら、皆が見てびっくりするようなチャレンジをしてほしいですが、今回の企画なんて大昔からあるし、むしろ古いし……。全然チャレンジできていない感じもして、やはり残念ですね」

『あのちゃんねる』はあのにとって初の冠番組だが、悲しい終わり方になりそうだ――。

鎮目博道
テレビプロデューサー。92年テレビ朝日入社。社会部記者、スーパーJチャンネル、報道ステーションなどのディレクターを経てプロデューサーに。ABEMAのサービス立ち上げに参画。「AbemaPrime」初代プロデューサー。2019年独立。テレビ・動画制作、メディア評論など多方面で活動。著書に『アクセス、登録が劇的に増える!「動画制作」プロの仕掛け52』(日本実業出版社)『腐ったテレビに誰がした? 「中の人」による検証と考察』(光文社)