急速な物価高で、日本のエンゲル係数は44年ぶりに28.6%と高水準を記録した。

 高市政権が公約に掲げた「食料品減税」がすぐには実現しそうにない今、若い国民の健康を損なう事態が日本各地で発生しているという。

 それが、「物価高便秘」と呼ばれる現象だ。

 カップ麺、菓子パン、丼モノなど、安くて腹もちのいい食事は、財布には優しいが、実はお腹にはまったく優しくないのだという。

 理化学研究所名誉研究員で、『「腸内細菌」が健康寿命を決める』(集英社インターナショナル)などの著書を持つ、『辨野腸内フローラ研究所』理事長の辨野義己氏がこう解説する。

「安いものばかりの食事だと、炭水化物や油などに偏ることが多く、バランスのよい食事が摂れません。最大の欠点は、食物繊維が不足することです」

 つまり、節約ばかりに気を取られて便秘を招いてしまう。それが、物価高便秘の正体なのだ。

 実際、食物繊維の差は、排便のスピードにも大きく表れるという。

 医学的には、3日間排便がなければ便秘とされるが、

「イギリスで、ウガンダ人女性とイギリス人女性を対象に、食べたものが何時間後に便として出るかという比較が行われました。サツマイモやタロイモなど、食物繊維をたくさん食べるウガンダ人女性の場合は、16時間から18時間以内に排便するのに対し、精製されたパンにハムやソーセージ、野菜少々という食生活のイギリス人女性の場合は、なんと3日か4日後に一度出るだけでした」(辨野氏=以下、コメントはすべて同氏)

 便秘は特に女性に多い問題だ。

「我々が女性1200名を調べた結果、そのうち48%の方が便秘でした。さらにそのうちの65%は5日に1回しか出さないという状況です。平日は排便を諦め、土日になって、ヨーグルトや食物繊維やオリゴ糖、もしくは下剤を使って慌てて出している、というのが見受けられます。私はこれを“週末トイレ症候群”と名付けました」

 では、なぜ人は便秘になってしまうのか。便秘には、主に4つの原因があるという。

「1つ目は食事の悪さです。バランスの良い食事を摂っていない、自分の好きなものやお菓子だけを食べているような状況が便秘の原因になります。

 2つ目は、運動不足による弛緩性の便秘です。インナーマッスル(大腰筋・小腰筋・腸骨筋)がうまく鍛えられないことで、便を押し出す力が弱くなってしまいます。

 3つ目は、ストレスからくる痙攣性の便秘。出る量が少ない、あるいは出てもウサギのフンのような、コロコロとした小さく硬い便です。

 そして4つ目は、ダイエットによる便秘。食べる量が少ない、あるいは消化の良いものだけを食べていることで起こります」

 辨野氏は、「便秘はれっきとした病気」だという認識を持ってほしいと話す。

「便秘とは、腸の動きが止まることです。なぜ便秘が大きな問題になるかというと、大便を形成し、溜める大腸というのは、あらゆる臓器の中で最も病気の種類が多い臓器だからです。大腸に住む腸内細菌は、発ガン促進物質や細菌毒素を生み出します。大腸に大便を溜めすぎると腐敗状態が進み、さまざまな病気を引き起こしてしまいます」

 大腸がん、大腸ポリープ、潰瘍性大腸炎など、大腸に関連する病名は挙げればキリがない。だからこそ、“たかが便秘”と見過ごすべきではないのだ。